なでしこジャパンの女子W杯中継が開幕直前に決まった。世界的に見て「女子W杯の放映権・普及度」はどんな現状があるのか。ブラジル在住のライターが“FIFAの思惑”などとともに調べた。

 今月13日、日本サッカー協会が「20日に開幕する女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア・ニュージーランド大会のテレビ放送に関してFIFAとNHKが合意した」と発表した。

 翌14日、NHKは具体的な放送予定を発表。20日の開幕戦(ニュージーランド対ノルウェー)、グループステージ(GS)の日本代表の3試合(22日ザンビア戦、26日コスタリカ戦、31日スペイン戦)、日本代表が決勝トーナメントに進出した場合のすべての試合と8月20日の決勝を主としてBS1(31日のスペイン戦だけNHK総合)で生中継するという。さらにFIFAは自身のデジタルプラットフォーム「FIFA+」で全試合とそのハイライト映像を日本語の実況、解説付きで配信すると発表した。

 開幕まで1カ月を切ってもテレビ中継が決まらなかった6月21日、WEリーグ(日本女子プロサッカーリーグ)の田春奈チェアは「テレビ中継実現のため、クラウドファンディングのような形を模索したい」とまで語った。辛うじて、そのような非常事態は避けられた。

(中略)

FIFAとの交渉が難航した“2つの理由”

 今回、FIFAと日本のテレビ局の交渉がこれほどまでに難航した端的な理由は、以下の2つではないか。

1)日本では女子フットボールへの関心が高まっておらず、「なでしこジャパン」への世間的な興味と期待も以前より薄れている。
 2)FIFAが上記1)の事情を理解しておらず、要求額が高過ぎた。

 日本は、2011年のW杯でエース澤穂希らの活躍で劇的な初優勝を達成。翌年のロンドン五輪でも銀メダルを獲得した。さらに、2015年W杯でも準優勝と健闘したものの、2016年のリオ五輪アジア予選でショッキングな敗退。2019年W杯ではラウンド16、2021年の東京五輪ではベスト8で姿を消した。

 日本の場合、男子も女子も、代表チームの国際大会における成績が国内リーグの観客動員数に大きな影響を与える。

 なでしこリーグの1試合あたりの平均観客動員数は、2010年はわずか912人。ところが、W杯を制覇した2011年は2796人と急増した。ただし、その後はジリジリと減り続け、2021年秋に創設されたWEリーグの昨季は1401人。2022年のJリーグの平均観客数が1万4328人だから、その1/10足らずでしかない。

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https://number.bunshun.jp/articles/-/858134