国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティノ会長(53)は、23年女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア・ニュージーランド大会開幕前日となった19日、同大会の賞金が直接選手に支払われることは保証できないと述べた。ESPN電子版が報じた。

 賞金については国際プロサッカー選手会(FIFPRO)が、各国協会等からの搾取を懸念し、選手に直接支払われるように要望していた。

 FIFAは今年6月、大会に出場する選手全員に同連盟から少なくとも3万ドル(約420万円)が支払われると発表した。しかしインファンティノ会長は19日、そのようなお金が選手に直接支払われるようにすることは実現不可能だと述べた。

 同会長は「FIFAは各国協会の協会だ。だから私たちがどのような支払いをするにしても、協会を通じて行うことになる」

 「しかし我々はすべての協会と連絡を取り合っている。世界のさまざまな地域でさまざまな状況(税制や居住地など)があるため、いくつかの協会にとっては選手との特別な合意が必要だ」

 「私たちは画期的な決断を下してきたと思うが、これで終わりというわけでは、まったくない」などと説明した。



 インファンティノ会長は、女子W杯の賞金総額が19年には24チームで3000万ドル(当時約33億円)だったとし、今大会では32チームの選手たちに支払われる賞金が1億1000万ドル(約154億円)に増えたと指摘した。

 しかし、この女子W杯の賞金は、昨年カタールで開催された男子のW杯で提示された4億4000万ドル(約616億円)とは比較にならない。

 19日にこの格差について質問されたインファンティノ会長は、大会が終わってから議論することだとはぐらかした。

 同会長は「今日は女子W杯開幕戦前日であり、私にとってはポジティブなこと、幸せなこと、喜びのことに集中する瞬間だ。8月20日までは、私はポジティブなことしか言わないだろう」

 「もし何か不満を持っている人がいるとしたら残念だ。でも私はすべてに満足しているし、みんなを愛している。8月21日の時点になったら、我々は世界中で起きている他の問題や、これから起こるすべての問題に集中する」などと話した。

 インファンティノ会長は、27年までに男女の賞金を同額にすることがFIFAの目標であると述べているがそれほど熱心ではなく、女子W杯の放映権を買い取るように放送局に責任を押しつけてきた。



 これまでFIFAは女子W杯の放映権を男子のものとセットにして販売してきた。事実上、男子W杯の放映権を買った放送局にはタダで女子W杯の権利が与えられていたのだ。

 しかし今大会で初めて、FIFAは女子W杯の商業権を個別に販売した。そしてインファンティノ会長は今回の女子W杯は収支が均衡し、現時点で外部からの援助を必要としないと述べている。

 今年初め、FIFAは英国、スペイン、イタリア、ドイツ、フランスの放送局からの入札が(価格が安すぎて)容認できないとし、ヨーロッパのいくつかの国々では女子W杯が放送されないと脅した。

 最終的には合意に達したが、インファンティノ会長は19日に、この合意は提供される金銭の増加よりもむしろ女子サッカーの長期的な促進が目的だったと語った。

 同会長は「金銭的な要素が最も重要だったわけではない。私たちは最初に提示された額の10倍も100倍も稼いだわけではない」とし「これ(女子W杯を放送すること)が女子サッカーを発展させる最も効果的な方法だ」と、女子サッカー発展のために合意したと強調した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3d01575c701dec37faacdd36400929d201ecb85e