声はか細く、目はうつろ。柳沢は試合後、沈痛な面持ちで、この日最大の決定機を振り返った。
「ぼくのシュートチャンスはあの一本だけだった。急にボールが来たので。足の内側でければよかったが、外側でけってしまった」
悔やんでも悔やみきれない。後半6分、加地が右サイドから送った低いセンタリングを痛恨のシュートミス。
目前にあったゴールの枠さえとらえることもできず、ボールは力無く右へそれた。
日本の決定力のなさを象徴するシーンだった。