時事2023-04-15 05:22
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大学バスケットボール男子の強豪、東海大の金近廉(20)が、Bリーグ1部の千葉Jと2023~24年シーズンの契約を5日に結んだ。今季は練習生としてトップチームの練習に参加することも発表され、大学は中退する。これに対し、東海大の陸川章監督が異例のコメントを出し、リーグや日本協会を巻き込んだ議論となっている。

金近は196センチの高さを生かしたプレーだけでなく、3点シュートも得意とする大学バスケ界屈指のフォワード。2月のワールドカップ(W杯)アジア地区2次予選で日本代表デビューし、「キャリアの中で一番の経験となった。プロとの差を感じた」。陸川監督と何度も話し合い、より高いレベルでのプレーを希望しプロ入りを決断した。

陸川監督は6日に部のSNSに文書を投稿。金近の決断に最大限の敬意を表した上で、「今回のような事例が今後も続くと、大学スポーツの位置付けを見直しせざるを得なくなる」と訴えた。日本協会とBリーグに対し、「選手が人生の岐路において正しい判断ができるよう、規約の策定を検討することを強く望む」と要望した。

過去のBリーグでは、現日本代表の河村勇輝が昨年3月に東海大を中退し、横浜BC入りした例がある。若い選手が早くからプロとしてプレーすることは、日本のバスケ界のレベル向上に大きな意味を持つ。一方で、選手を育てた大学側はチームの軸を失うことになるだけに難しい問題だ。

今後もプロとアマチュアの間で同様のケースが増えると予想される。Bリーグの島田慎二チェアマンは「大学も奨学金など努力をしているので、こういうことが起こると困るのは重々承知している。どんな対応がベストか、検討しなければいけない」と述べ、大学バスケ界との話し合いの場を設ける考えを示した。 
[時事通信社]