フリーキャスター・ジャーナリストとして活躍する一方、母校の大学院で研究を続けてきた安藤優子さん。
自身の博士論文をもとにした著書『自民党の女性認識──「イエ中心主義」の政治指向』が話題です。
女性は、妻は、母はこうあらねばならない。
私たちの価値観の中に、根強く残る規範意識はどこからくるのか。安藤さんに話を聞きました。

【中略】

おじさんたちの海を泳いでたどりついた場所
私がテレビ局で報道の仕事をはじめたのは40年ほど前のことです。
当時の現場は見渡すかぎり、おじさんの頭しか見えない男社会の大海原でした。
当時のテレビ業界には、少し前の森喜朗さんの発言じゃないですが、女性はこうあるべきだ
わきまえろという暗黙のルールみたいなものがありました。大学在学中からアルバイトでテレビ局に入った私に与えられたのは、男性司会者の横に座っているアシスタントの仕事です。
堅いニュースを読むのは男性と決まっていて、横でにこやかに相槌を打つのが私の役割でした。
そこで最初アッパーカットをくらった、と思ったのはフィリピンのベニグノ・アキノ元上院議員暗殺事件のニュースを報じたときのことです。
アメリカに亡命していたアキノ氏が、帰国直後に空港で殺されるというショッキングな出来事でした。
映像を見ながらその様子を実況中継したとき、ちょっとしたコメントを挟んだら、視聴者から批判が殺到しました。

女が国際的な大事件を実況レポートするとは何事か。生意気だ」というわけです。
にこにこ笑って余計なことは言わず、おとなしくしていないと
この社会で受け入れられないんだ、と思い知りました。はっきりと文字で書かれているわけではないけれど
男たちの作ったルールが確かにあって、それを守らないならいる場所はないという、無言の圧力を感じたのです。それから私は
おじさんたちにかわいがられようと意識してみたり、仕事に慣れてからは
おじさんと同じような振舞いを意識して同化することで仲間に入れてもれてもらったり。
男性たちから敵視されないように振る舞って、自分のキャリアや居場所を作ろうともがきました。
年を経て当時を振り返るようになり、自分の後に続く世代には
そんな働き方や生き方をして欲しくないという思いが猛烈にこみ上げてきたのです。

続きはソース
Yahooニュース MAGACOL 2023/04/07 6:30
https://news.yahoo.co.jp/articles/3b6fada1538f3a0fca122f0465a3501363a146ca