死ぬまでにやりたいこれだけのこと

公開日:2023/03/20 06:00 更新日:2023/03/20 06:00

小倉一郎さん(俳優/71歳)

「俺たちの朝」(日本テレビ系)、「それぞれの秋」「もうひとつの春」(TBS系)など多くのドラマや映画で活躍してきた小倉一郎さん。俳人や童謡作家として多彩な顔を持つが、大病を機に悔いがないように取り組んでいることがある。

 ◇  ◇  ◇

 役者を60年近くやってきました。26年前に俳句も始め、句集も3冊出しましたが、4冊目を出そうかなと思っていた矢先の去年3月、肺がんが発覚しました。しかも、ステージ4の両肺。胸骨と脳にも転移していて手術も治療もできない、余命1、2年と医者に言われてしまいました。

 がんかもしれないと予感はあったので、「そうなんだ」と冷静に受け止めました。そして「これはあと1年ということだな」と思い、この1年の間にやりたいことをやっていこうとすぐに行動に移しました。



■俳人を育てること

 やりたいことはたくさんあります。一つは自分の俳句結社をつくって俳人を育てることです。それまで千駄ケ谷や武蔵小杉など都内とその近辺の数カ所で俳句教室をやっていたのですが、それらをすべて閉じて横浜で「あおがえるの会」を結成しました。結社名は私の俳号の「蒼蛙(そうあ)」からとりました。

 ところが、予想外にがん治療ができることになったんです。長女が「専門の病院でも診てもらいたい」と言うので、結社を立ち上げた翌月の4月に別の病院にかかったところ、放射線治療で脳と胸骨のがんが消え、両肺も抗がん剤治療でかなり小さくなった。

 先生は「小さくなってますね」と冷静でしたが、私にすれば「うっそー!」ですよ。もう泣きそうになりました。看護師さんに見られたら恥ずかしいので、その場では我慢し、診察室を出てトイレに駆け込んで思いっきり泣きました。まだ治療の途中ですが、生まれ変わった気分です。おかげで季刊予定の「あおがえる」は今月で第2号を出すことができました。

     ===== 後略 =====
全文は下記URLで

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/320305/2