1/16(月) 14:00配信 日刊ゲンダイDIGITAL

「代表クラスの選手を多数抱えながら、いくらなんでもヒドいんじゃないか」

 11球団からはこんな声も上がっている。「ヒドい」とはソフトバンクのこと。3月に行われるWBCのメンバーが、続々と内定する中、選手を出し惜しんでいるというのだ。

 捕手の甲斐拓也(30)と、外野手の近藤健介(29)は、すでに侍ジャパンのメンバーとして発表済み。内野手の周東佑京(26)が内定しているといわれ、計3人が選出される見込み。

■手薄なポジション

 とはいえ、周東は控えの守備走塁要員ともっぱらだし、近藤はFAで日本ハムからソフトバンクに移籍する以前から選出が“内定”していたようなもの。「12球団一」といわれる戦力を有しながら、実質的に主力を代表入りさせるのは甲斐ひとりだからだ。

「中でも手薄といわれるポジションのメンバーを出さないことが、他球団の怒りを買っているようです」と、さる放送関係者がこう続ける。

「具体的には、遊撃と外野です。遊撃は内野の要ともいうべきポジションなのに、一線級は西武の源田壮亮(29)ひとり。阪神の中野拓夢(26)の代表入りが内定していますけど、今季は二塁転向プランも持ち上がっている選手ですからね。巨人の坂本勇人(34)は昨季の度重なる故障でムリだけに、ソフトバンクの今宮健太(31)を呼びたかったのに断られたというのです。外野にしても本職はカブスの鈴木誠也(28)、カージナルスのヌートバー(25)、近藤の3人だけ。本来は長打力を備えた柳田悠岐(34)をメンバー入りさせたかったのにかなわなかったといいます」

■落差の大きなフォーク

 今宮も柳田も故障が理由らしいが、主力を出し惜しんでいるのは野手に限らない。

「投手の藤井皓哉(26)ですよ。リリーフとして昨季、55試合に登板して5勝1敗、防御率1.12。150キロ台中盤の速球に加えて、落差の大きなフォークボールが武器。特にフォークはメジャーリーガーに対して絶大な効力を発揮するだけに、侍ジャパンはメンバーに加えたかったのに、それもできなかったらしい」とは前出の関係者だ。

 藤井も含めて体調に問題があるとすれば仕方がないという気もするのだが、他球団の怒りの根っこには別の問題もあるらしい。

オフの補強はひとり勝ち

 ソフトバンクはオフの補強にひとり勝ち。7年総額50億円という大金で獲得した近藤を筆頭に、3年15億円で有原航平(30=前レンジャーズ傘下)、4年3億円で嶺井博希(31=前DeNA)、1年6.5億円でオスナ(27=前ロッテ)、1年1.6億円でガンケル(31=前阪神)らを獲得。近藤は楽天を除くパ・リーグ5球団による争奪戦を制したし、有原やオスナにしても獲得を視野に入れていた球団は他にいくつもあった。そんな中、ソフトバンクは他の外国人選手も含めて総額80億円ともいわれる大金を投じ、選手を根こそぎさらっていった。

 選手の年俸総額は昨年まで3年連続12球団ナンバーワン。カネをかけて優れた選手を集めておきながら、2年連続でオリックスに煮え湯を飲まされている。それだけに今季は何が何でも優勝したいに違いない。

 しかし、例えば2年連続リーグ優勝、昨年は日本一になったオリックスはエースの山本由伸(24)がすでにメンバー入りしているうえ、宮城大弥(21)の代表入りも確実。左右の両エースに加えて、中継ぎエースである宇田川優希(24)の選出までウワサされている。

 そうやって特に負担の大きな投手陣を出血覚悟で送り出す球団がある一方で、オフに選手を集めまくったソフトバンクが最小限の選手しか出そうとしない、というか少なくとも他球団からWBCに非協力的とみられているのはある意味、仕方ないのではないか。

 侍ジャパンのメンバーがすべて発表される以前から、水面下では11球団の怒りの炎が燃え盛っている──。

https://news.yahoo.co.jp/articles/bacfdaa9c4aff7b4f36e5f9f166cbe7891ed45cf