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【イングランド-イラン】後半、アディショナルタイム10分を示す電光掲示板=カタール・ドーハのハリファ国際競技場で2022年11月21日、宮武祐希撮影

アディショナルタイム、なぜこんなに長い? W杯カタール大会
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 「14分」「13分」――。試合でアナウンスされ、表示されるアディショナルタイム(追加時間)が驚くほど長い。サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会では追加時間の長さが話題を呼んでいる。

 21日のイングランド―イラン戦では、試合開始早々にイランのGKベイランバンドが味方選手との交錯で倒れ、試合が一時中断。治療後に試合は再開したが、脳しんとうの疑いで再び試合が止まり、前半だけで14分の追加時間が示された。第2日までの4試合の追加時間(1試合平均)は15・5分で、うち3試合で後半の追加時間が10分を超えた。

 1試合平均の追加時間は2018年ロシア大会を契機に大幅に増えた。ロシア大会で、映像によって主審の判定を助けるビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が初めてW杯で導入され、14年ブラジル大会の5分19秒からロシア大会の1次リーグでは6分15秒と1分近くも伸びた。ロシア大会中、国際サッカー連盟(FIFA)のコリーナ審判委員長は「VARだけによるものではないが、映像の確認などにも時間を要した」と語った。

 今大会開幕前に、米スポーツ専門チャンネル「ESPN」のインタビューでコリーナ氏は「正確を期そうとすれば、時間はかかる」と説明。今大会から、新たにオフサイド判定を補助するための映像や人工知能(AI)を用いた「セミ・オートメーテッド・オフサイド・テクノロジー」が導入された。判定までの時間はわずか3秒だが、AIの下した判定を審判が確認する時間は必要で、正確性を求めるほど時間は要するといえる。

 また、コリーナ氏は試合中には、得点後のゴールパフォーマンスや意図的な時間のロスなどが起き、「(ロシア大会では)失った時間を正確に(追加時間に)算出しようとした」と指摘。その方針は今大会も継続されている。

 4年に1度のサッカー最大の祭典のW杯。通常の試合以上にゴールが入れば歓喜の輪は大きくなり、リスタートするまでの時間は長くなる。イングランド―イラン戦では両チームあわせて8得点が生まれたこともあり、前後半あわせて27分という前代未聞のアディショナルタイムとなった。【丹下友紀子】