<全国高校サッカー選手権東京都2次予選:国学院久我山3−2帝京>◇Aブロック準決勝◇5日◇味の素フィールド西が丘

 帝京が負けた。夏の総体準優勝の勢いに乗って13年ぶりの選手権出場を目指したが、3年ぶりの出場を狙う国学院久我山に2−3で逆転負け。胸に輝く全国制覇を表す9個の星(選手権6回、総体3回)を10個にする目標を掲げていたが、予選で力尽きた。

 激闘の80分だった。開始早々にエースFW斉藤慈斗(3年)のゴールが「ラインを越えていない」として認められず。前半10分には相手FW塩貝健人(3年)に先制点を許した。その後2点を奪いリードして折り返したが、後半2失点で再逆転された。

 「久我山さんの方が試合への思いが強かった」と日比監督は話した。6月に高校総体予選で対戦し、延長の末4−1で勝った相手。リベンジに燃える相手に対して「意識しなくても、受けたところはあったかも」と同監督は振り返った。

 らしくなかった。得意の連動したパスがなかなかつながらず、後半には足も止まった。日比監督は「コンディショニングを失敗したかも。選手はよくやった。自分のミスです」。準々決勝から2週あいたことも、影響したかもしれない。

 「何もできなかった」と話したのはMF伊藤聡太主将(3年)。「一番ダメだったやつが泣いても仕方ないから」と涙をこらえ、仲間に声をかけた。「個性的な選手ばかりだけど『10個目の星をとる』を共通目標でチームが1つになった。インターハイ(総体)であと1歩だったから、選手権では必ずとるつもりでいました」と肩を落とした。

 日比監督が主将だった91年度以来、遠ざかる選手権優勝。今年は狙えた。「選手権は子どものころからの夢。優勝インタビューを受けることも考えていたんですけど」。しかし、全国制覇どころか、13年ぶりの出場も消滅。「悔しい思いしかない。家帰って、一人でしくしく泣きます」。無理につくった笑顔で言った。

 それでも、終盤は帝京らしくパスをつないで久我山ゴールに迫った。決定機を何度もつくった。「最後は帝京のサッカーができた」と伊藤主将。時間がなくなってもゴール前に放り込むことはせず、丁寧にパス。「蹴りこむより、パスをつないだ方が得点できると、みんな分かっているので」と言って胸を張った。

 10個目の星は逃したが、帝京のサッカーは終わらない。プレミアリーグ昇格を目指す関東プリンスリーグは残り3試合。「切り替えて、プリンスの試合に向かいたい。10個目の星は、来年後輩たちがとってくれると思います」。伊藤は努めて前向きに話した。

 「難しいですね。選手権は」。日比監督はポツリと言った。東京勢で唯一のプリンスリーグ所属、さらに現在2位でプレミア昇格も見えている。実力は東京屈指だが、勝敗は別。「自分が言いたいことは、全部キャプテン(伊藤)が言ってくれました。いい選手たちです。難しいけれど、次の試合に切り替えないと」。カナリア軍団の挑戦は終わらない。【荻島弘一】

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