ドイツ国営メディアのドイチェ・ヴェレは、セガールが2013年のロシア国営TV「ロシア・トゥデイ」(現「RT」)にて、プーチンの指導力を絶賛したと報じている。「今日存命のなかでは世界で最も偉大な指導者であり、仮にそうでなくとも、最も偉大な指導者のうちのひとり」であると発言した。

セガールは武術愛好家という共通点を通じ、プーチンに惹かれていったようだ。米CBSニュースは2014年、セガール本人がロシアのTV番組で語った内容を報じている。「初めて彼(プーチン)の家に招かれたとき、柔道の創始者である嘉納治五郎の等身大の像がありました。だから一瞬で心を奪われると同時に感銘を受け、この男(プーチン)をもっと深く深く知りたいと思うようになったのです」

プーチンの盟友に対しても、リップサービスを欠かさない。英エクスプレス紙は今年4月、セガールが自身の誕生会にプーチンの側近らを招き、「みんな、愛していますよ」と述べたと報じている。

スピーチのなかでプーチン側近らに「私の家族であり友人です」と呼びかけ、「ここに迎えられて嬉しい」「みんな、愛しています。よき日も悪き日も、ともに立ち上がりましょう」と団結を誓ったという。

「クリミア併合は非常に合理的な一手」と公言
ロシア愛はとどまるところを知らない。2016年にはアメリカ国籍を保持したまま、新たにロシア国籍を取得した。プーチンから直々にパスポートを渡されたようだ。この措置に恩義を感じてか、ロシア擁護の発言は加速してゆく。英ガーディアン紙によると、セガールはロシアによるクリミア併合を支持し、「非常に合理的」な一手だと述べている。

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「ゼレンスキーが口封じで国民を殺した」とデマを拡散

ロシア依存を高めるセガールは、ウクライナ侵略を援護するかのような発言さえためらわなくなった。

セガールは今年8月9日、親露派が支配するウクライナ・ドネツク州の捕虜収容所を訪れている。収容所は7月末に爆撃されており、米政治専門誌の『ヒル』は現地報道を基に、捕虜53人が死亡したと報じている。ウクライナとロシアの双方が相手の攻撃だと主張している。

現地の爆発跡を視察したセガールは、通常の爆弾ではなく「HIMARS(ハイマース)」が着弾した可能性が高いとの考察を披露。アメリカが提供した高機動ロケット砲システム・ハイマースを使った、ウクライナによる攻撃であると示唆した。

だが、『ヒル』誌によるとこのセガールの見解は、米諜報ちょうほう機関による分析と食い違っている。米側はロシアが現地にハイマースの残骸を持ち込み、ウクライナによる攻撃だと演出する偽装工作を図ったと指摘している。

セガールの口からは、陰謀論まで飛び出した。その主張によれば、被弾地点に収容されていたナチズム信奉者を始末する目的で、ゼレンスキー大統領がハイマースを放ったのだという。軍事ニュースサイトのミリタリー・タイムズによるとセガールは、「興味深いことに、殺害されたナチスのひとりはここ最近でゼレンスキーに関して多くのことを発言しはじめていた」と述べている。

加えてセガールは、「そしてゼレンスキーは、ジュネーブ条約への違反に加えて人道上の犯罪という観点でも、拷問など残虐行為への責任がある」と述べ、ゼレンスキーが口封じのためにウクライナのネオナチに被弾させたとの独特な見解を示している。

これに対し同記事は、セガールの理論が米国の分析結果と一致しないことを指摘し、「陰謀論的観点」だと一蹴している。

全文はソースで
https://president.jp/articles/-/61209?page=3