[ 2022年9月3日 11:52 ]

 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、出版大手「KADOKAWA」(東京)側が大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)=受託収賄容疑で逮捕=の知人が経営する会社に計7000万円を提供していたことが3日、関係者への取材で分かった。資金はKADOKAWAが2019年4月にスポンサーに決まった後から渡っていた。東京地検特捜部は、提供した趣旨や入金後の流れを調べている。
 関係者によると、この知人がKADOKAWAをスポンサーに後押しするよう高橋容疑者に依頼していたとみられる。資金はコンサルタント名目で提供されていた。

 KADOKAWAは、書籍および雑誌の出版サービス分野の「オフィシャルサポーター」に決定。大会の公式ガイドブックや公式記録集などを出版した。角川歴彦会長は8月の取材に同社が捜査を受けているかどうか分からず、経緯を調査していると答えた。

 大会スポンサーは、組織委と専任代理店契約を結んだ広告大手電通が募集していた。電通の提案を受けた組織委マーケティング局が事実上、分野ごとにスポンサーを選定。マーケティング局には電通からの出向者が多く在籍し、高橋容疑者は同社の元専務だった。

 高橋容疑者の逮捕容疑は17年1月〜21年6月ごろ、AOKIホールディングス(HD)の前会長青木拡憲容疑者(83)ら3人=贈賄容疑で逮捕=からスポンサー契約などで有利な取り計らいを受けたいとの多数回の請託を受け、17年10月〜今年3月の五十数回にわたり、自身のコンサルタント会社「コモンズ」を通じて計5100万円を受け取った疑い。

 高橋容疑者は正当なコンサル料だとして容疑を否認しているとみられる。

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