[ 2022年6月29日 08:00 ]

 【名将・鳥内秀晃の人間話 頼むでホンマ】暑くなってきて、熱中症になる人が急増してるな。最近は春が短くなって暑熱順化できず、
6月やのに真夏みたいに気温が上がるから、気をつけなあかんねん。特に子どもとお年寄りが心配や。例えば小学校の体育の授業を屋外でやるかどうか決める時、
ちゃんとした基準はあるんかな。先生の感覚だけでやっとったら、絶対にあかん。

 関学大のアメフト部は、WBGT測定器(気温、湿度、輻射熱から算出される暑さの指数)を導入して、練習の内容を決めてんねん。
この指数で31度以上なら運動は原則中止、28度から31度までなら激運動禁止って具合にガイドラインに則って活動してるわ。気温だけで判断したら、危険やねん。
各学校に、この装置は置いてへんのかな。あれば、だいぶリスクを減らせると思うで。

 ニュースとかで、「涼しい部屋で、こまめに水分摂ってください」って言うてるやん。けど、もっと具体的な対策を言わへんかったら、観てる人に伝わらへんで。

 まず大事なんは「フリードリンク」やな。体育の授業で、生徒が一斉に給水するのを見たことあるけど、体調や体格って人によって違うやん。
運動してる最中に水分が欲しくなってる子も、「給水まであと1分」なら我慢してまうやろ。身体が水分を求めた時には、もう脱水症状が始まってんねんで。「1分」で容体が急変することもあるねん。
それをちゃんと理解して、各自が好きな時に水分を摂れるようにせなあかんわ。家にいてるお年寄りかて同じ。喉が渇いてなくても、15分に1回は強制的に水を飲むべきやで。

 あと、周囲が気に懸けてやることも大切やな。友達同士でチェックして、「しんどそうな顔してるな」と思ったら、先生に伝えて、それで大事を防げるねん。
「みんな一緒にやってるから、最後まで頑張らなあかん」って発想はすぐにやめた方がええわ。教師や指導者が熱中症に関する正しい知識を身につけるのは当たり前やけど、
それを子どもにも教えんかったら意味ないねん。「無理したらあかんって、先生が言うてたやろ」って子ども同士が注意し合ったら、防げる事故は増えるはずや。
 
(関西学院大アメリカンフットボール部前監督)

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