マグミクス2022.06.28
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1979年より1987年まで「週刊少年ジャンプ」に連載され、2011年の連載再開から現在でも連載されている、超人格闘マンガ『キン肉マン』。同作に登場する超人は「超人強度」を持ち、高いと強いようなのですが、時には95万パワーの超人が1億パワーの超人を倒すことも。どんなパワーなのでしょうか。

超人格闘マンガ『キン肉マン』には「超人強度」という超人の強さを表す数値が存在します。主人公のキン肉マンは、95万パワーですが、ピンチになると眠っていた「火事場のクソ力」が発動し、最大7000万パワーの超人強度となって、強敵に打ち勝てます。

その一方で、キン肉マンの仲間であるロビンマスクは、95万パワー(異説もあります)でありながら、1億パワーのキン肉マンマリポーサを倒します。約105倍もパワーが異なるなら、普通は勝ち目がないと思いますが、パワーが弱い側が勝つことも多々あるのです。

超人強度は通常は、生まれた時から変わらないともされていますが、100万パワーのウォーズマンのように、ベアークローをふたつ装備して200万パワー、その状態で2倍のジャンプをして400万パワー、3倍の回転を加えたスクリュードライバーを放って1200万パワーと、行動次第でパワーを増大させることも可能です(きっとベアークローをふたつ装備したことがスイッチで、体の負担を顧みずに超人強度をブーストするモードになるのでしょう)。

バッファローマンも、ひとり超人を倒すと1万パワーを得られる契約をサタンとして、1000人を倒して1000万パワーとなりました(900人を倒した時点で1000万パワーとなり、そこでカンストして、後100人を倒したのでしょう)。

一方で、超人強度は「下げるとスピードが上がる」設定も存在します。バッファローマンは0パワーにすると光速となり、姿が消せるとのことです(……?)。火事場のクソ力を奪われたキン肉マンが、基本の95万パワーで放ったキン肉ドライバーはむしろ速度が落ちていたので、必ずスピードアップするわけでもないようですが。

この超人強度とは、どんなパワーなのでしょうか。確実に言えるのは「筋力の強さや、耐久力の高さではない」ことです。

人間の場合、格闘技素人のパンチ力が60~80kg、ヘビー級ボクサーだと300kgにも達するそうです。小学生や成人女性の平均パンチ力は、成人男性の半分らしいですから、2倍でそれだけの差があります。筋力が5倍も違ったら、一瞬で倒されてしまうでしょう。

つまり筋力量の違いではありません。95万パワーのテリーマンは、4800万パワーのマックス・ラジアルに力で打ち勝っています。ですから、超人強度の正体として考えられるのは「超人が持つ超常能力の総量」。つまりRPGにおけるMPみたいなものということです。

例えば、キン肉マンがキン肉バスター、テリーマンがキン肉ドライバーを相手にかけ、空中で合体してマットに落下する必殺技が「マッスル・ドッキング」です。この技は単独でキン肉バスターやキン肉ドライバーをかけた時の10倍の破壊力があるそうです。

技が合体することで、超人3人分の重みがかかるキン肉ドライバー側の威力が上がるのはわかりますが、テリーマンの首に跨っているキン肉マンがかけたキン肉バスターの威力まで、10倍になるのです。

つまり、超人が放つ必殺技の威力は、物理的な衝撃だけではなく、超能力のような要因が加味されているのではないでしょうか。技自体の威力というよりは、技を放つ際に込められた攻撃的意志力が、攻撃魔法のような威力を発し、ダメージを与える主体になっているということです。だから、一見、物理的な威力がなさそうなポーズの必殺技でも、大ダメージを与えることがあると考えられます。

実際、キン肉マンの必殺技「マッスル・スパーク」は、究極の峰打ち技であり「相手は倒すが命は奪わない」技ですから、技をかける側の意志が効果に反映されています。

一方、アシュラマンは「同じ超人強度でも、鍛え方が違う! 精根が違う! 理想が違う! 決意が違う!」とオリジナル悪魔超人の超人強度を誇っています。つまり「超人強度は、生まれながらに総量は変わらないが、鍛えられる」ものだということです。

そう考えると、超人強度の強弱とは「意志力の総量」みたいなものではないでしょうか。超人強度が高ければ、基本的には技に込められる攻撃的意志も多くなり、ダメージを増やしやすい。でも、自身の意志を鍛え、技を磨いてその精度を増していなければ「漠然とパワーを浪費しているだけ。スタミナを大量に消費しつつも、効果は上がらない」のでしょう。

(安藤昌季)
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