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公開:22/06/15 06:00 更新:22/06/15 06:00

(2)マルチタレントの先駆者・青島幸男

 野坂昭如、大橋巨泉、阿久悠、秋元康、鈴木おさむ、三谷幸喜、宮藤官九郎に至るまで、時代をつくった人たちは、その多くが「放送作家」出身だ。“テレビはオワコン”ともいわれる今、裏方だった彼らの活躍を知ることで見えてくる、もうひとつのメディア・エンタメ史。「放送作家ほぼ全史」(星海社新書)を上梓した社会学者・太田省一が、その謎をひもとく。

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 1960年代、テレビがお茶の間の主役になると、タレントとして活躍する放送作家が次々と登場する。「タレント放送作家」時代の到来である。

 永六輔、大橋巨泉、前田武彦ら、彼らはテレビにラジオにCMにと活躍したが、なかでもマルチな活躍という点で、青島幸男の右に出る存在はいないだろう。

 青島は1932年東京生まれ。実家は日本橋の仕出し弁当の店である。裕福な暮らしぶりだったようだが当人は病弱で、ずっと家で静養する日々だった。そのため一般の会社には就職せず、早稲田大学大学院に進学した。
そんな折、ラジオの演芸番組を聴いて「これならオレにも書ける」と思い、自作の漫才台本を送ってみた。するとそれが認められ、放送作家への道を歩み始めることになる。

 世に出たきっかけは、フジテレビ「おとなの漫画」。毎日生放送で時事コントをやる番組である。

 出演はハナ肇とクレージーキャッツ。青島は、メインのコント作家として有名に。そしてそのクレージーキャッツとの縁で参加したのが、テレビバラエティー史に残る日本テレビ「シャボン玉ホリデー」(61年開始)だった。

 この番組で、青島幸男は自分も出演した。その際のお決まりのギャグが「青島だァ」。番組の裏方なのにエラそうにしている青島がそれをとがめられると、開き直ってこの言葉を陽気に言い放つ。このフレーズが流行して、一躍タレントとして脚光を浴びた。

     ===== 後略 =====
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太田省一
社会学者
1960年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本、お笑い、アイドルなど、メディアと社会・文化の関係をテーマに執筆活動を展開。「紅白歌合戦と日本人」(筑摩書房)、
「芸人最強社会ニッポン」(朝日新書)、「21世紀 テレ東番組 ベスト100」(星海社新書)など著書多数。最新刊は「放送作家ほぼ全史」(星海社新書)。