佐野 亨 2022/06/05

 2021年夏に開催された東京五輪大会の公式記録映画『東京2020オリンピック』、その第1部となる『SIDE:A』の劇場公開が6月3日より始まった。

 総監督を務めたのは河瀨直美だ。先日発売された「週刊文春CINEMA!」2022夏号で、筆者は河瀨のインタビュー記事の聞き手・構成を担当している。

 この取材は、『SIDE:A』『SIDE:B』のいずれも完成していない段階でおこなわれたもので、当然、筆者もその時点では映画を観ていなかった。

 インタビュー原稿をまとめる段階でようやく『SIDE:A』の仮編集版を観ることができた(さらにその後、試写で完成版を観た)が、そのかんに「週刊文春」では、河瀨の過去の暴行疑惑が報じられ、
昨年12月にNHK-BS1で放送されたドキュメント番組「河瀨直美が見つめた東京五輪」の内容がすでに問題視されていたこともあって、日本国内では河瀨に対する批判的な声が高まっていった。

 一方、この原稿を書いている最中には、河瀨がフランス政府から芸術文化勲章オフィシエを授与されたというニュースが報道された。

 国内外におけるこのような評価のちがいを、不思議に感じるひとは多いだろう。しかし、河瀨直美という映画作家のこれまでの歩みを振り返ってみると、この奇妙なねじれとでもいうべき状況が決していまに始まったことではないことがわかるはずだ。





国内外の評価のズレの正体
     ===== 後略 =====
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 https://bunshun.jp/articles/-/54891