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い日本代表が見たいなら、仕組みを変えろ! 本紙評論家のセルジオ越後氏(76)が、24日に行われるワールドカップ(W杯)アジア最終予選のオーストラリア戦(アウェー)を前に、辛口のカツを入れた。B組2位の日本は、次戦に勝てば7大会連続W杯出場が決まるが、現状に不安を募らせるセルジオ氏は、Jリーグのシステムなどの大改革を口にした。

W杯アジア最終予選もあと2戦。本大会出場圏内のB組2位日本と3位オーストラリアは勝ち点3差。日本はオーストラリアとの直接対決の次は最下位ベトナム戦(29日)。半面、オーストラリアは日本戦の次は首位サウジアラビア戦だ。残す相手だけを考えたら、日本有利は間違いない。でもね、そこに大きな落とし穴があるんだよ。

24日の直接対決で引き分けなら、少しは余裕が出てくるだろうけれど、負けちゃったら、7大会連続W杯出場は一気に遠のく。勝ち点で並ばれると、得失点差で3位に転落。自力で出場圏内の2位以内に入る可能性が消滅する。

オーストラリアが日本戦の次の29日に戦うサウジアラビアは24日の中国戦でW杯出場を決めてしまう可能性が高い。そうなると、サウジアラビアにとってオーストラリアとの最終戦は消化試合になる。日本がベトナム戦で大勝したとしても、得失点差で3位終了の可能性は十分ある。オーストラリア戦が、W杯に行けるか、行けないかの大きな分かれ道になるよ。引き分け以上なら天国だけど、負けたら地獄だね。

93年にJリーグができて、日本は圧倒的な強さでアジア予選を突破する時期がしばらく続いた。でも4年前のロシア大会予選から、楽な展開の試合数が減った。Jリーグのシステムに責任があるよ。親会社に頼りすぎている。実際に親会社から広告宣伝費の名目でお金をたくさん援助してもらえるクラブは強いし、そうでないところはどんどん弱くなっていく。

クラブの社長は親会社からの天下りや、息のかかった人選が多い。会社人事で「○○クラブ社長」と言われると、左遷で、もう本社には戻れないと出世をあきらめるケースも多い。クラブの最高権限を持つ人間が、任期中にトラブルなく仕事をこなすだけのことを優先的に考えるなら、当然そのクラブに発展はないだろう。

日本も欧州や南米のように、会長制を取り入れればどうかな。オーナーが仕切ることも魅力があるしね。選挙で会長に選ばれた人間がクラブを経営し実績を残せば、また選挙で選ばれるだろうし、失敗した会長は消えるだろう。

そのようなシステムじゃないから今のJクラブは、所属選手、特に若手を欧州クラブに売る時も格安で譲るんだよ。ほとんどがまずはレンタル移籍で実績を残せば本契約、しかも移籍金はなしか、あるとしても格安。さらに日本のスポンサーが付くこともある。こんなの、世界ではあり得ないし、その会長は首だよ。

話を森保ジャパンに戻そう。森保監督は4年かけて、守備的なチームをつくってきた。おかげで日本代表は失点が少ない。最終予選8試合で3失点。アジア相手に大崩れすることはないだろう。だが、攻撃力には疑問符が付く。

メンバーを固定している割には連動性にも欠くし、個々の破壊力もないから、弱い相手にも大勝できない。昨夏の東京オリンピック(五輪)でもオーバーエージ(OA)は守備的な3人。攻撃で下の年代を圧倒できる選手がいないと判断したんだ。しかも五輪後、攻撃的なポジションでA代表にはい上がってレギュラーを奪った選手もいないしね。

高校サッカーの最後の大物は、FW大迫とMF柴崎といわれている。ここ10年、高校からプロになって代表として成功した選手はほぼいない。欧州や南米だと、10代の選手がどんどん出てくるのにな。時間をかけて大事に大事に育てたいのかな? それじゃ忘れられてしまうよ。クラブや指導者が勇気を持ってトライしないとね。

まずはJリーグのシステムを変えないと、日本代表はいつになっても得点力不足が課題で脱アジアできないだろうな。(日刊スポーツ評論家)

日刊スポーツ
https://news.yahoo.co.jp/articles/9fe067502ef5e885a171e9592e359f39ce70dc4b