2/22(火) 5:15配信
東スポWeb

帰国後、ロシア国民の熱烈な出迎えを受けたワリエワ(ロイター)

 北京五輪のフィギュアスケート女子で世界中に衝撃を与えたカミラ・ワリエワ(15=ロシア)のドーピング問題が、ますます波紋を広げている。大会期間中に昨年12月の禁止薬物陽性が発覚し、大騒動に発展。閉幕後もワリエワに関連する動きが収束する気配は見られない。ロシア国内では政府や企業によって天才少女を囲い込む思惑がうごめき、国外ではワリエワの追放≠求める声が噴出。カオスな状況となっている。

 ドーピング問題に揺れるワリエワは、21日に騒動後初めて公にコメント。自身のインスタグラムで「私のコーチたちに感謝したい。あなたたちがそばにいれば、安心してどんな試練も乗り越えられる。私を強くしてくれてありがとう」とつづり黒幕≠ニの批判を浴びているエテリ・トゥトベリーゼ・コーチへの忠誠を誓った。さらにファンに向けて「あなた方のためにスケートをしていく」と現役続行も表明した。

 その言葉通りすでに練習も再開しているが、前途は多難だ。現役時代に米国代表として活躍したポリーナ・エドモンズさんは、自身のSNSで「正義のためにも世界選手権に出場するべきではない。調査が終わるまで資格停止処分を受けるべきだ」と主張。ワリエワの国際大会出場を疑問視する声は関係者の間で根強く、出場を禁じるよう包囲網≠ェ敷かれる可能性もある。

 リンクの外でも、ますます騒がしくなっている。ロシアメディア「スポーツKP」は「彼女のインスタグラムのフォロワーは、北京五輪が開幕した4日には21万9000人だったが、フリー演技の翌日の18日には95万人以上に達した」と報道。その後もさらにフォロワー数は伸び、21日時点でなんと113万人に。世界中から注目度が急上昇している様子がうかがえる。

 こうした状況に同国メディア「メタレーティングス」は「皮肉なことにドーピングスキャンダルの後、ワリエワの人気は絶頂に達する可能性がある」と指摘。早くもロシア企業の間でワリエワへのオファーが殺到しているようで、今後争奪戦に発展して巨額マネーが動くことになりそうだ。

 一方、穏やかではない指摘も出ている。ドーピング発覚後、ワリエワの15歳という年齢から、各国フィギュア関係者が本人の意思とは関係なく薬物を摂取させられていたとの声が上がった。それが事実なら、ワリエワが現状に嫌気を差すことも考えられ、海外のSNS上では「彼女は次に国を離れて大会に出る時、亡命を計画する可能性がある」と驚きの予測も上がっている。

 もちろんこれは単なる外野≠フ声にすぎないが、ロシアで気になる動きもある。「スポーツランブラー」など複数メディアはスポーツ界の重鎮バチェスラフ・フェティソフ下院副議長の発言をもとに「プーチン大統領がワリエワを支持した」との情報を相次いで報道。当のフェティソフ氏もロシア放送局「ラジオKP」に「われわれの国の環境大使になってもらいたいと考えている」と今後は外交の一端を担わせる計画を明かした。

 ロシアが政府を挙げてワリエワの囲い込み≠急ぐのは「悲劇のヒロイン」に祭り上げて国民の愛国心を刺激するためなのか、それとも何か別の理由があるのか…。さまざまな思惑が複雑に絡み合い、天才少女の周囲はきな臭いムードが増している。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/28809199868a5fe4be52c8c7dec0a2c5baa9f946