サッカー日本代表のW杯アジア最終予選のサウジアラビア戦は1日、テレビ朝日系で放送され、視聴率20.0%を記録した。W杯出場のためには負けられない一戦。5連勝で首位サウジを撃破し、大いに盛り上がった。

 しかし、日本代表の放送を巡っては悩ましい問題がある。アジアサッカー連盟が動画配信のDAZNと高額な契約を結び、日本代表のアウェーの試合は地上波の放送がない。埼玉スタジアムで行われたサウジ戦はホーム、勝てばW杯出場が決まる3月24日のオーストラリア戦はアウェーで地上波の放送予定はない。なので、日本サッカー協会の田嶋幸三会長が地上波で放送できるよう動いている。

 ところで、代表戦が従来のようにテレビで見ることができなくなって、仕方なくDAZNと契約をしている人も多い。地上波と比べて内容はどうか。違いは解説や実況で映像はほぼ同じ。DAZNは動画配信とDAZN YouTubeチャンネルでも配信を行った。

 動画配信は元日本代表監督の岡田武史と元代表選手の佐藤寿人が解説を担当し、実況はスカパー!などの海外サッカーで知られる野村明弘、YouTubeはナイナイ矢部浩之と元代表中村憲剛の「裏実況」。テレ朝は元代表の松木安太郎、中田浩二、内田篤人、実況は局アナ吉野真治。

 結果はMF南野拓実&伊東純也のゴールで2対0、松木は4戦連続ゴールの純也を「イナズマ純也」と命名、これがネットでも拡散するなど今やサポーターの象徴的存在。現在スポーツ紙で来し方を連載しているが、その中で「解説する時は応援モード、テレビを見ている人が、スタジアムで応援している人と同じ目線で試合が見られるように心がけている」と語り、ブレない姿勢は好感度抜群だ。かつて「応援団長みたい」「うるさい」と非難囂々だったのがウソのようだ。

 しかし、DAZNで佐藤や中村が選手心理や試合をわかりやすく分析しているのに比べると、中田と内田は松木を前に押し出しが弱過ぎ。それからDAZNは百戦錬磨の野村の実況が効いている。サウジの選手の読みにくい名前がよどみなく出てくるのもさすが。

 田嶋会長にはぜひ、地上波での放送を実現してもらい、映像は大きな画面の地上波、音声はDAZN……が理想かも。

日刊ゲンダイ 2/6(日) 9:06
https://news.yahoo.co.jp/articles/9eec36d5a426dbfdffd352a9caaf9317045fa9b3

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