2/2(水) 5:15配信
東スポWeb

初日練習を前に所信表明を行った阪神・矢野監督(東スポWeb)

 しばらく余震≠ヘ収まりそうにない。キャンプイン直前に矢野燿大監督(53)が今季限りでの退任を表明した阪神は、どこかギクシャクしたムードの中で1日に春季キャンプ初日を迎えた。日本ハム・新庄ビッグボスのパフォーマンスを吹き飛ばすほどの決意表明には一夜明けても選手、関係者の動揺は広がったまままだ。球界OBからは「これでは選手がかわいそう」との声も噴出している。

 矢野監督による今季限りでの退任表明は、ビッグボスが沖縄・名護で打ち上げた約2200発の花火を吹き飛ばす勢いで、日本全国を駆け巡った。ネットを含む各種媒体はトップバリューで報道。キャンプ初日の練習終了後の取材エリアでも、指揮官の退任表明についてのコメントを求める質問が各選手に投げかけられた。

 衝撃の告白から一夜明け、矢野監督は「賛否両論があるということは想像した上で、それでも伝えさせてもらった。いろいろな意見があるということは、もちろん分かっている」と話した。実際に選手たちの反応は「シーズン前なので驚いたのが一番。矢野さんが辞める辞めないにかかわらず活躍したいとは思っているので。辞めるから(頑張りたい)というわけではない」(藤浪)「選択は監督がされたこと。そこはリスペクトして応援したい」(マルテ)「寂しさもあり、正直聞きたくないというか、そういう気持ちもあるけれど、僕らにできることは最高の胴上げを絶対に今シーズンにするということ」(糸井)とさまざまだった。球団関係者からも「全く聞いていなかったし、正直戸惑っている」と困惑の声が上がっている。

 キャンプ前日の決意表明には球界OBの間でも「チームの士気は維持できるのか」「胸に秘めておくだけにして、公言すべきでなかったのでは」「選手がかわいそう」と批判的な声が噴出している。

 ただ、矢野監督の決断に対しては肯定的に捉える意見もあり「昨秋からこの春にかけて、球界の話題は新庄監督、日本ハム一色に染められ、阪神の影は薄くなる一方だった。今回の一件で良くも悪くもではあるが、阪神に注目が集まるようになる」と放送関係者。ある球団OBは「これでいいんじゃないの? 進退を表明したことで、これまで以上になりふり構わぬ采配をシーズンでは見せてくれると思う。意気に感じるかどうかは選手次第だろうけど、活躍すれば自分の給料は上がり、ダメならクビを切られるのはいつの時代も同じなんだから」と前向きに解釈する。

 4球団がドラフト1位指名で競合した佐藤輝や韓国球界で抜群の成績を残したロハス、アルカンタラの新加入に沸き、優勝への期待値も高かった昨年に比べ、今年は目立った戦力的な上積みもなく、どこか頭打ちの閉塞感すら漂っていた。そんな状況を打開するため、指揮官は自身の進退を切り札とし、賭場のテーブルに差し出す決断をしたのでは…との見方だ。

「泣いても笑っても矢野阪神は今年で最後」の思いがチーム内に新たなエネルギーを生み出すか。逆の目が出るようなら、今年はストーブ≠ェ出しっぱなしになるかもしれない。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/8d04b3edb2b85d30ea8096b55b3d85bef8b47a03