1/19(水) 19:49配信
スポーツ報知

第166回直木賞を受賞した米澤穂信さん

 「黒牢城」(KADOKAWA)で第166回直木賞に輝いた米澤穂信さん(43)の受賞会見が19日、東京・内幸町の帝国ホテルで行われた。

 黒のスーツに白いマスクを着け、受賞作を大切そうに抱えて登壇した米澤さん。冒頭、「大変、光栄に思います。以前、私の小説を評して、何もないところに投げた石で池を作っていくようなことをしているねと言われたことがあります。今回、投げた石が大きな池を一つ作ったのかなと思っています」と穏やかな表情で話した。

 「着想して、いざ書く時にこれは出版してもらえるのか、読者に喜んでもらえるのかと悩むことがありました。今回も果たして戦国時代を舞台にミステリーを書いて読者は面白いと思えるのかと悩んでいましたが、編集者の方に、ぜひ書いて下さいと言われた。それは正しかったなと思います」と明かした米澤さん。

 「次はどんなものを書きたくなるか、不安半分、楽しみ半分というところです」と話すと、「ミステリーは私にとって、非常に大きな軸足です。ミステリーが柱であることは一生変わらないけれど、これから先、私がどういう小説に出会うのかは分からないです」と続けた。

 受賞作で謎解きをしていく探偵役に据えた黒田勘兵衛について、「この小説の中で最初から集団と個を書いてきたつもりです。ただ一人、個の論理で集団の論理に抗した勘兵衛によって、この小説は幕が下ろせるのではないか。一人のやるべきことのある人間として立ち上がってきた」と説明。

 最後に「なんとか、いい小説を書きたいと思ってきました。直木賞をいただいて、選考委員の方に、いい小説を書いてこれたと思っていただけたのかなと。これからどんな小説を書けばいいのかは漠として分からない。これまではいい小説を書いてきたと言っていただけたと思って、新しい仕事に臨んでいきます」と話した。(中村 健吾)

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