VTuber文化は2018年ごろから開花したが、その歴史はつねに炎上事件と共にあった。それだけ人々の注目を集めているということだが、人気VTuberたちの発言を振り返ると、たしかに「問題がある」と感じてしまう言動も…。今回は、その中でも印象的だった3つの “失言”事件を振り返ってみたい。

ちょっとした内輪ノリが思わぬ展開に
<その1>『ホロライブ』VTuberの「清掃員」差別?
業界トップをひた走る『ホロライブ』では、2020年10月に失言騒動が勃発。5期生の雪花ラミィ、獅白ぼたん、尾丸ポルカが配信中に行った、とある発言がきっかけだった。

彼女たちが『Minecraft』をプレイしていた際のこと。先輩にあたる湊あくあが、チャットにて架空の企業「AKUKIN建設」の人材を募集した。さらに湊あくあは、「勤続20年の宝鐘マリンが清掃員として働いている」という情報を知らせる。

すると3人は大爆笑。獅白ぼたんは「20年やって清掃員」がなぜかツボに入ったらしく、「やだな、自分の子どもに語った後に『パパ何やってるの』って言われて『清掃してる清掃員だよ』って言うの」と口にしてしまう。

ほかのメンバーも同調したようなトークを展開したため、大きな火種となり、ネット上では《職業差別だ》といった批判が続出してしまった。3人は謝罪ツイートを投稿し、雪花ラミィについては翌日から体調不良による一時活動休止が発表されることに。

ちなみにこの騒動には、「2ちゃんねる」創始者のひろゆき氏も参戦。ツイッター上で《世の中に清掃員はいっぱい居ると思うんだけど、なんでこんなに笑えるのかわからない》と批判し、擁護しにやってきた「ホロライブ」ファンとレスバトルを繰り広げていた。

<その2>菓子職人を馬鹿にした?『にじさんじ』VTuber
2021年

10月には、大手VTuberプロダクション『にじさんじ』で失言騒動が起きた。しかもその現場は、公式番組である『にじさんじのB級バラエティ(仮)』。取材先の店舗に「失礼すぎる態度をとった」というのが、バッシングの内容だ。

この日の番組に出演していたのは、イブラヒム、鷹宮リオン、夢追翔、星川サラの4人。VTRでは『麩の菓 おふや』に隣接する工場を取材し、どのようにお麩が作られているのか紹介していった。

しかし出演者たちはVTRそっちのけでゆるいトークを繰り広げ、ドラマ『半沢直樹』の話題に熱中。もちろんネタではあったが、「※コイツらこの辺マジでVTR見て無いです」とのテロップが表示されるなど、“悪ノリ”が加速してしまう。

結果として動画には低評価が殺到し、SNSなどにも批判コメントが溢れかえった。そこで当事者の1人、イブラヒムも謝罪ツイートを行ったが、《ソリ〜次の収録から気をつける》という軽い文面だったため、火に油を注ぐ結果に。

その一方で、実際に取材を受けた「麩の菓 おふや」はインスタグラム上で《何より沢山の方に興味を持って頂けた事が嬉しいです! 感謝です》とコメント。1958年に創業した老舗企業らしい“大人”な対応を見せることで、騒動の鎮火に一役買っていた。

トップVTuberからポロっとこぼれた暴言…
<その3>『にじさんじ』葛葉の「ブツブツ」発言
男性VTuberとして高い地位を築いている葛葉だが、その芸風はやや過激なところがある。炎上のライン際で華麗にダンスしているような印象であり、そこが他のVTuberにはない魅力と言えるだろう。

しかし時には判断をうっかり誤り、ラインを踏み越えてしまうことも。これまでの活動歴を振り返ると、失言による炎上騒動が少なくない。たとえば2020年10月には、『Apex Legends』の配信中にリスナーの怒りを買ってしまった。

その配信は同じ「にじさんじ」の叶や、勇気ちひろとのコラボ配信。ゲーム内のプレイをめぐって、勇気ちひろが一部のリスナーに荒らされていたのだが、そこで葛葉は猛反撃。荒らしているリスナーについて、「顔キモイんだろうな」「学校での地位も低いんだろうな」と言い放った後、「…ぐらいなんですよ。言ってることのレベルは」と付け加えてみせる。

さらにその後も、プロゲーマーのコメントに“指示”を出すという民度の低いリスナーについて、「いやそんな絶対、顔ブツブツじゃん」と発言。炎上を避けるためか、「…ぐらいのことなんすよ」と再度付け加えた。しかし、さすがに侮蔑的なニュアンスを拭えなかったようで、ネット上で大いに物議を醸していた。

人気が出れば出るほど、世間からの注目度も上がってしまうもの。以上のような失言騒動は、今後も決して避けられないだろう。せめてリスクを減らせるよう、運営側はますますコンプライアンス教育を徹底する必要があるかもしれない…。

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