0001征夷大将軍 ★
2021/12/15(水) 15:39:58.03ID:CAP_USER9今季の法大を語る上で欠かせないシーンがある。10月3日、関東大学リーグ初戦の日大戦。後に有沢玄ヘッドコーチ(HC)が「あの試合に勝ったのが大きかった」と振り返る一戦だ。特に勝敗を決定づけたのが、前半最後の28秒間だった。
蒸し暑さの残る東京・アミノバイタルフィールド。とっぷりと日が暮れていた。法大が14―10とリードして迎えた第2クオーター終盤、日大は第3ダウンのランプレーでゴール前まで迫り、タイムアウト(TO)の後にフィールドゴール(FG)を選択。これを決めて、前半残り28秒で1点差とした。
この時、日大がTOの前にゆったりと時間を流していたらこの28秒間は生まれず、1点差のまま後半を迎えていただろう。法大は図らずも前半のうちに日大を突き放すチャンスを得た。「たまたまだったけど、ああいう時に使うと決めていた。ひたすら練習していた」と法大RB星野(3年・日大三)。とっておきのスペシャルプレーがあった。
残り16秒となり、法大は自陣からの攻撃で第2ダウン。QB平井(3年・千葉日大一)から、WR小山(4年・聖望学園)に20ヤードほどの一直線のパスが通った。すると小山はボールを後ろに投げ捨てる。そこに星野が走り込んだ。ボールを抱えた星野は、小山に集まりかけていた相手を置き去りにした。「スポット&ラテラル」と呼ばれるトリックプレー。カクテル光線に照らされた背番号「1」はあっという間に闇の向こうに消え、フィールドの右隅まで63ヤードを走り切った。星野は「あの場面で出せたのは本当によかった」と笑った。
今季の関東リーグは各校の実力が高いレベルで伯仲していた。となれば勝敗を分けるのはモメンタム(流れ)と準備だ。法大は日大戦で多くのトリックプレーを披露していたが、ここぞの場面で決まっていなければ、法大と日大(関東7位)の順位が入れ替わっていた可能性すらある。運命を左右した28秒間だった。
2017年に有沢HC体制となって5年目。ここ数年、法大は「強い」と言われながらなかなか結果が出ていなかったが、今季は春のオープン戦から年間無敗のまま甲子園に乗り込む。「負けていないことが学生の自信になっているのは確か。日本一のチームで日本一になるのが目標」と有沢HC。チーム力で関西の高い壁に挑む。【黒川優】
毎日新聞2021/12/15 15:00
https://mainichi.jp/articles/20211214/k00/00m/050/321000c