『鬼滅の刃』のアニメ第2期がスタートした。原作のストーリーでの「無限列車編」「遊郭編」が描かれ、全国のフジテレビ系列29局に加えBS11などでも放送され、ネット配信ではABEMA、Amazonプライムビデオ、Netfliで配信が行われる。「遊郭編」の初回となる放送は12月5日の予定。

アニメのスタートを記念し、過去に公開した記事の中で特に反響の多かった記事を再公開します。(初公開日:2020年5月25日/情報はすべて当時のもの)
「全205話で完結」は意外ではない

2020年5月時点でシリーズ累計発行部数6000万部を突破していた『鬼滅の刃』。2016年末の連載開始から3年半というわずかな期間に『週刊少年ジャンプ』のトップに君臨する『ONE PIECE』にも比べられる破竹の勢いのなか、5月18日発売の同誌で第205話をもって完結。

人気絶頂なのに、劇場版「無限列車編」を控えているタイミングで、なぜ?との声が日本中に響き渡った。

しかし「なぜ」ではなく「見事に」というべき。コミックが売れているからと未練がましくダラダラ引き延ばしたりせず、すべての因果が回収されたところで物語がキレイに完結しているのだから、美しいと言うほかはない……とはいえ、まさに「売れているから」には何者も逆らいがたいのが資本主義の真実ではある。

実際、熱心な読者ほど最終決戦の行方以上に「その次」にハラハラしていたはず。せっかく最高におもしろいのに、我が道を突き進んでいたのに、いつもの無理やり延長(『ジャンプ』に限らず、売れているコミック一般がそうである)になって末節を汚したらどうしよう。そんな心配をされた作品は、後にも先にも『鬼滅』のほかはマンガ史上でも稀血、いや稀なはず。

ちなみに全205話というのは『ジャンプ』連載としても別に短くはなく、たとえば『暗殺教室』(180話)よりは長いし『ニセコイ』(229話)より少し早めに終わったぐらい。いや『磯部磯兵衛物語』って256話もつづいてたのかよ! というのはさておき(1回が短いから)。それでも短く感じる、もっと読みたい、でも無様につづくのはカンベン……という複雑な思いにファンは身をよじっていたのである。

おそらくファン心理を的確に表す言葉、それは「作品の成仏」。愛すればこそ死んだ魚の目になる前に昇天させてやりたい──そんな特殊な心境に至ったのは、『鬼滅』が読者にその覚悟を決めさせるプロセスを着々と積み上げてきたからだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c1cf3823b7490ff72362ba7a3b58de0b173afe63