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世の中には色々な健康法があるが、一般的に“健康にいいとされる”食べ物や飲み物の中にも注意が必要なものは多い。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんが疑問視するのは市販品のほか、スポーツクラブなどにサーバーが置かれている水素水だ。

体の老化を促進する活性酸素を消してくれる水素水は、理論上では効果がある。しかし水素は空気に触れると消滅する特徴があり、水をボトルに入れるうちに抜けてしまいます。

 そもそも、『水を大量に飲むと美容や健康にいい』という風潮そのものが間違い。よく診察時に『毎日健康のために2リットルの水を飲むようにしている』という人がいますが、そういう人に限って体に不調を抱えている人が少なくない。必要以上に水を飲むと血液が薄まり、体外に排出するために大量の尿を作るので腎臓に大きな負担がかかる。体力が奪われる原因になります」(岡田さん)

水素水と並んで一時期大ブームになったココナッツオイルやスムージーも医学的な視点から見ると“気休め”に過ぎない。スムージーは摂り方を間違えれば無意味どころか、有害なものになりかねない。秋津医院院長の秋津壽男さんはいう。

「特にアサイーなど冷凍した果物を使って作ったスムージーは温度が低く、朝一番に氷水をお腹に入れるのと変わらない。お腹を急激に冷やし、代謝を下げます。加えて、果物に含まれる糖分量は意外と多いうえ果糖はブドウ糖などに比べて血糖値を上昇させやすい。いずれにせよ摂りすぎは体によくない」(秋津さん)
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津川さんによればテニスのノバク・ジョコビッチ選手をはじめとするスポーツ選手や芸能人たちが実践する小麦や大麦に含まれるたんぱく質の「グルテン」を摂取しない食生活、グルテンフリーも健康効果はほぼ認められないという。

「ジョコビッチ選手はセリアック病という、グルテンを摂ると腸管に炎症を起こす珍しい病気を持っていたから、グルテンフリーによって不調を抜け出せた。翻っていえばこの病気ではない人がグルテンフリーで健康になれるというエビデンスはありません。加えて、市販のグルテンフリー食品には砂糖が多く含まれているものもあり、かえって栄養バランスを崩しかねません」(津川さん)

情報があふれるこの時代、「気休めの健康法」に振り回されないためには見極める力が必要だ。日本眼科医会常任理事の加藤圭一さんはいう。

「正しい情報かどうかを判断するためには、その出所を確認してほしい。例えば、目に関するきちんとした情報は日本眼科医会のホームページを見てください。医会が発表する情報は偏りがなく信頼できます」(加藤さん)

間違った健康法で犠牲になるのは、自分の体にほかならない。冷静に判断しよう。