野球界において「松坂世代」をしのぐスターの宝庫が1988年世代。通称「佑ちゃん世代」だ。1日に今季限りでの引退を表明した日本ハム・斎藤だが、その成績が下降線をたどると同時に「佑ちゃん世代」よりも「マー君世代」や「88年世代」といった呼び名が浸透するようになった。だが、当事者たちにとって斎藤は特別な存在であり続けた。

 ソフトバンクの主砲・柳田悠岐外野手(32)も、斎藤に敬意を表してきた一人だ。プロでの対戦成績は通算6打数2安打。14年シーズンを最後に、直接対決はない。斎藤が表舞台からフェードアウトしていくのとは対照的に、柳田は15年に「トリプルスリー」を達成するなど球界を代表する選手へと成長。海の向こうでは田中将大(現楽天)がヤンキースのエースへと駆け上がった。前田健太(ツインズ)や秋山翔吾(レッズ)もメジャーへ旅立ち、セ・リーグではすでに名球会入りしている坂本勇人(巨人)が猛スピードでキャリアを積み重ねた。

 柳田は広島商から広島経済大を経てプロ入り。甲子園出場はなく、地方大学出身の非エリート≠セった。ゆえに「ハンカチ王子」が巻き起こした社会現象に大きな刺激を受けた。そもそも野球界における「同い年」は、面識がなくても強烈なシンパシーを感じるもの。とりわけ斎藤に対する柳田の敬意は強かった。

「僕らの世代をまとめて言う時は、この先もずっーと『佑ちゃん世代』ですよ」

 パ・リーグの「顔」となってからも、そう強調していた柳田。再起を期していた斎藤との再戦を楽しみにしていたのは言うまでもない。斎藤というスターを目指し、比較対象にされて闘志を燃やし、プロ入り後も切磋琢磨してきた。数字では語れない佑ちゃんの「功績」。柳田のようにリスペクトしている同世代は多い。

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