東京五輪・パラリンピックが閉幕した。異例ずくめだった大会の意義と課題を探る。

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 「ありがとう東京。逆境の中、共にやり遂げました」

 5日の東京パラリンピック閉会式で、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドルー・パーソンズ会長は、新型コロナウイルス禍の困難を乗り越えて大会を完遂できたことに、謝意を示した。

 大会期間中に来日した各国要人らから、「日本だから開催できた」との言葉が多く伝えられている。2024年にパリ五輪を控えたフランスのロクサナ・マラシネアヌ・スポーツ担当相は、8月5日の丸川五輪相との会談で、「国としてどのようなことをしたのか教えていただき、ぜひ参考としたい」と要望し、丸川氏は知見の共有を約束した。

 大会完遂は医療水準の高さや人的資源、国と東京都の財政力など日本の総力の結集と、試行錯誤の結果だ。

 国際体操連盟は昨年11月、東京で4か国参加の親善試合を開催した。海外の選手・関係者には毎日の検査を義務づけた。米欧で導入されていた「バブル方式」を採用し、外出禁止などで関係者と外部を遮断した。選手ら関係者の感染者はゼロに終わり、対策を徹底すれば国際大会は可能だと国内外にアピールした。

 今年5月には各競技のテスト大会など11イベントで選手の動線などを細かく見直し、対策を練り上げた。

 開幕後は、多くの大会関係者やボランティア、政府や都の職員らが協力し、毎日の検査や陽性者の隔離、行動管理などを徹底。会場の床やボールをこまめに消毒し、表彰式でメダルは選手が自ら首にかける……。地道な作業を積み重ねたことで、選手らの感染爆発や、それによる競技不成立の続出などが起きることはなかった。

 大会組織委員会によると、選手やボランティアなど関係者で7月1日から9月6日までに陽性判定を受けたのは853人で、うち選手は41人だった。「バブル方式」に漏れもあったが、厚生労働省によると、来日した関係者から市中への感染拡大は確認されていない。

読売新聞 9/7(火) 5:00
https://news.yahoo.co.jp/articles/da1eb40965e6b96861a1434629944f6314fb0519