毎日新聞 2021/8/29
https://mainichi.jp/articles/20210829/ddm/001/070/152000c
1980年代まで東京六大学野球の…

1980年代まで東京六大学野球の早慶戦後に学生たちが繁華街に繰り出す「夜の早慶戦」がよく問題になった。新宿・歌舞伎町のコマ劇場前では早稲田の学生たちが噴水の池に飛び込んだ。その後噴水の池はなくなり、10年前にはコマ劇場も解体されてそんな光景は過去のものになった

跡地に誕生したのが新宿東宝ビルだ。屋上から顔をのぞかせるゴジラが外国人観光客にも人気のスポットになった。ビル東側の「トー横」と呼ばれる一角には夜中まで若者がたむろしている

缶チューハイを片手に路上飲みをするグループも少なくない。ホームレスの60代男性が酒に酔った少年に暴行される事件も起きた。SNSに投稿された映像が端緒になって少年は書類送検された

飲食店の営業自粛が求められ、新宿に限らず各地で路上飲みが社会問題化している。若者が集まって騒ぐのは今に始まったことではないが、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況では眉をひそめる人が多いのも当然だろう

ただ、10〜30代を対象にした東京都のアンケート調査では路上飲みの経験者は1割にとどまる。コロナ禍で家族や友人に迷惑をかけたくないと考えている人も多い。都が渋谷駅近くで始めた若者向けのワクチン接種会場には早朝から長蛇の列ができた

未成年の飲酒や度を越した行動は容認できないが、若者を感染拡大の元凶扱いする必要もあるまい。それよりワクチン接種をできるだけ早く若年層に広げることの方がよほど重要だろう。