浦和レッズは19日、エントリー手続き不備事案に関するJリーグの懲罰に関して、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したことを発表した。

この事案は、6月20日に行われた明治安田生命J1リーグ第18節の湘南ベルマーレ戦に関して、エントリー資格がなかったGK鈴木彩艶を起用。この試合は3-2で敗れていたが、3-0での敗戦という懲罰を受けていた。

鈴木は、U-24日本代表の活動に参加。そのため、Jリーグの公式PCR検査を受けられていなかった。代表活動中にJFAのPCR検査を受けて陰性になっていたため、その結果を受けてJリーグエントリー資格認定委員会に申請し、
エントリー資格の認定を受ける必要があったものの、クラブが認識不足からこれを怠り、エントリー資格がないまま鈴木を出場させていたということだ。

マッチコミッショナーによる確認不足もあった中、エントリーの資格を有する選手を起用する義務はクラブにあることから、
けん責処分に加え、「出場資格のない選手の公式戦の不正出場」という理由で3-0の敗戦処分となっていた。

浦和はこの件に関して、7月14日に日本サッカー協会(JFA)の不服申立委員会へ不服申立理由書を提出。しかし、不服申立可能な懲罰に該当しないということで却下されていた。

浦和は、この件について、鈴木の「エントリー資格」がないことはチームの手続きミスとして認め、処分を受けるとしながらも、選手としての「出場資格」は持っているため、
「出場資格のない選手の公式戦の不正出場」は適用されるべきではないと主張。懲罰基準 3-7「チーム又は選手等によるその他の違反行為」が適用されるべきではないかという主張をしている。

浦和の声明は以下の通り。

「本事案は、JFA及びJリーグの各規則並びに2021明治安田生命J1・J2・J3リーグ戦試合実施要項(試合実施要項)で出場資格を認められている選手について、エントリー手続に不備があったものであり、
この事案に懲罰基準3-3「出場資格の無い選手の公式試合への不正出場(未遂を含む)」として、本試合を「得点を3対0として試合を没収」するとの懲罰を科す事は、
懲罰規程の適用に誤りがあるとして、クラブ内で検討の結果、CASに提訴しましたのでお知らせいたします」

「浦和レッズは、「日本サッカーの水準向上及びサッカーの普及促進」等、Jリーグの理念を実現すべく、
JFA及びJリーグと協力してクラブを運営していくものであり、この基本的な姿勢は、過去も、現在も、将来も変わりません」

「JFA及びJリーグが自ら定めたルールを正しく理解して、正しく運用することは、健全な日本サッカー界にとって必要なことであると考えます」

「本件について浦和レッズは、第三者機関による中立公正な判断を求めることがJFA及びJリーグを構成するクラブの責務であると考えると同時に、
今シーズンにおける浦和レッズの順位やACLの出場権獲得に影響を及ぼすこと、さらには他のクラブにおいても同様のことが発生した場合、
クラブの根幹に影響を及ぼす大きな事態に繋がる恐れがあることなどから今回の結論に至りました」

「このことにより、これまで培ってきたJリーグや日本サッカー協会との関係を毀損させる意図はないこと、日本のスポーツ界、サッカー界の発展を願い全力を挙げていきます」

選手のエントリー資格に関しては、その他のケースが3件発覚しており、マッチコミッショナーの義務が果たされていないケースが散見。
コロナ禍でのイレギュラーな対応とはいえ、根本的な見直しが必要な状況に立たされていると言っても良いかもしれない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/715df0b681d49ca8b23696b219ab34730095cf00