東京オリンピック(五輪)の射撃競技で31日、女子ライフル3姿勢に明治大学4年生の平田しおりが出場する。射撃の日本勢最年少の21歳。中学時代は家庭部、石川・金沢伏見高時代は書道部だった「文化系選手」だ。

【写真】ライフルで的を狙う平田しおり=日本ライフル射撃協会提供

 石川県能美市出身。書道は小学1年生から習っていて、高校でも書道部に入った。腕前は「段の上」という。

 同時に、高校では「何か別なことをやってみたい」とも思っていた。父の展也さん(49)はクレー射撃の選手で、小さい頃から、父の試合を見るために「家族旅行の感覚で」全国の大会を一緒に回っていた。そんな父の姿を見て興味を持ち、高校に進学してしばらくして、射撃を始めた。

 高校では月曜から金曜まで書道部で活動し、週末に母の送迎で金沢市の医王山ライフル射撃場へ通った。ビームライフル競技を始め、わずか2カ月後の2015年8月には北信越ライフル射撃選手権大会で優勝。すぐに頭角を現した。

 「書道は紙1枚1枚に集中して、1枚にリズムをつけて書くことで完成する。射撃にもルーティンがあります。弾を入れて、構えて、集中して呼吸し、1発を撃つ。射撃の集中の切り替えは、書道の集中の切り替えに似ている。書道も射撃も、流れが止まってしまうと崩れてしまう」

 大学は迷いなく射撃の強豪、明治大学に進み、本格的に筆を銃に持ち替えて競技に打ち込んだ。19年11月のアジア選手権(ドーハ)で3位に入り、「世界でやれるかも」というおぼろげながら感じていた自信が確信に変わった。「東京五輪を目指したい」

 現役大学生のトップシューターとして、射撃界の「顔」としても注目を集めてきた。五輪はマイナースポーツの射撃が4年に1度注目される、絶好の機会。テレビ番組などメディアにも積極的に出演し、射撃の魅力をアピールしてきた。

 東京五輪での初種目となった24日の女子エアライフルでは予選が突破できず、涙を流した。「やっぱり悔しくて。でも、よかったところ、収穫があったところはたくさんある。今後の射撃人生にいかせると思う」

 日本の田村恒彦監督が「これから日本を背負ってくれる存在になる」と太鼓判を押す存在。悔しさも収穫も体感した東京。充実の夏となる。(坂上武司)

7/31(土) 7:00配信
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