7/15(木) 23:48配信 読売新聞オンライン
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 政府と東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は15日、新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者と判断された選手について、試合直前のPCR検査で陰性の場合は出場を認める方針を固めた。国内では濃厚接触者は14日間の待機が求められており、特例的な対応となる。

 政府と組織委が作成した対応方針によると、濃厚接触者と判断された選手には原則、毎日、鼻の粘液を採取する鼻咽頭PCR検査を実施する。その上で〈1〉個室で滞在、宿泊〈2〉練習や試合を除く外出禁止〈3〉食事は自室で1人でとること――などを条件に試合、練習への参加を許可する。

 さらに、試合開始前の6時間以内を目安に検査を行い、陰性の場合のみ出場できるとした。練習や試合の会場では動線を分けて他の選手らと距離を確保する。

 これに加え、柔道や野球、サッカーなど選手同士の近接・接触が想定される競技の場合は試合後も検査を実施。陽性判定に備え、試合でさらなる濃厚接触者になり得る選手らのリストを作成しておくとした。

 濃厚接触者の判断は保健所が、試合出場可否の判断は組織委が、それぞれ行う。

 大会の新型コロナ対策指針「プレーブック」に違反して濃厚接触者となった場合、練習や試合への参加は認めないことも明記した。

 プレーブックでは、濃厚接触者でも一定の条件下で競技復帰が認められ得るとの趣旨の記載があり、政府や組織委で具体策を検討していた。

 今回明らかになった基準で選手らの感染拡大を防げるかどうかは、未知数だ。

 新型コロナの潜伏期間は1〜14日とされ、検査時期によっては十分なウイルス量がなく、感染者でも陰性になることがある。現在、国内では濃厚接触者がPCR検査で陰性でも、14日間の自宅待機が求められるのはこのためだ。

 政府や組織委内では当初、濃厚接触者の選手は、最大6日間は出場を認めない厳しい基準を検討していた。しかし、濃厚接触者が続出すれば大会の混乱も予想されることから、選手の出場機会の確保を優先させることにしたとみられる。

 東京医大病院渡航者医療センターの浜田篤郎特任教授は「PCR検査で陰性でも感染していないとは言い切れない」とする。ただ、感染者でも陰性ならウイルスの排出量が少ないと考えられ、「試合でほかの選手などに感染させる可能性は低いとみられる」と話す。