酒販売業者も飲食店も怒り、4度目の緊急事態宣言に入った東京
2021年7月12日 23時04分

 今回新たに酒を販売する事業者に対し飲食店との取引停止が求められていますが、双方から怒りの声が上がっています。

 「受注どうですか、前回の緊急事態宣言時よりも少ない?」
 「その時よりは(今回の)土日が多かったみたい」
 「普通に補充の分もある」
 「LINEの受注は何件くらいですか?」
 「LINEは10件くらいですね」
 「10件か、少ないな」

 午前7時前、東京・練馬区の酒卸店。出勤早々、店主の秋山さんが確認していたのは、飲食店からの注文です。来年、創業100年となる老舗の会社は、都内にある多くの飲食店と取引があります。

 都は12日から再び飲食店に対し、酒を提供する場合は休業するよう要請していますが、店には酒の注文が入っていました。

 「まん延防止の時よりはだいぶ少ない、件数あたりは。120件ぐらいは来てましたからやっぱり半分近くになっている、量も少ない。1件あたりの(注文)量が少ない。
料理酒であったり、ノンアルコールビールが目立つ。酒類の提供をしないお店がかなり多い」(「酒の秋山」 秋山裕生店主)

 4度目の緊急事態宣言。これまでと大きく異なるのは、秋山さんのような酒類を販売する事業者側にも酒の提供を続ける飲食店との取引を止めるよう、政府が要請していることです。

 さらに西村経済再生担当大臣は先週、酒の提供停止を拒む飲食店についてこんな発言を・・・

 「金融機関とも共有して、金融機関からも応じていただけるように働きかけを行っていただく」(今月8日 西村康稔経済再生相)

 金融機関を使った“圧力”とも受け取られる発言に批判が殺到。そのため西村大臣は11日夜、ツイッターで陳謝し、方針の撤回を改めて強調しました。

 酒卸の秋山さんは店への販売の継続を決めました。背景にあるのは、一連の政府の対応への「怒り」です。

 「到底納得できるレベルではない。要請に対しては補償が必ずセットであるべきですし、その提示がないのにお願いばかりしているのでおかしい。
飲食店からの注文を拒否することによって、その飲食店はもう二度とうちに注文をいただけないというふうに思うので、そこはなかなか断れない。
自分の生活を守るのが第一ですから、政府が守ってくれない、突き放した以上は我々で守るしかないという考え」(「酒の秋山」 秋山裕生店主)

 店では週5回の配達を半分以下に減らし、従業員のシフトも減らすなどしながらなんとか経営を続けてきました。しかし、売上は未だ以前の半分にも回復せず、今回の“宣言”で、8割から9割減る可能性もあるといいます。

Q.前はもっと大きな車で?
 「そうです。仮にこの車なら満載で積みきれない。実際アルコールは、前の方ビール2本とこれ、あの『鏡月』という右の箱ですね。以前の6分の1くらい」(「酒の秋山」 秋山裕生店主)

 そして向かった先は都内の飲食店。酒も運ばれます。ただ、店からは・・・

Q.飲食店、何か言ってましたか?
 「まあ、しばらくお酒とらないかもと」

 12日、都内の飲食店では宣言期間の来月22日まで休業するという張り紙が多くみられました。一方で・・・

 こちらの配達先の居酒屋では酒の提供を続けることを決めたといいます。

 「本当は従いたいが、これ以上は言うこときいていてもしょうがないというか、結局すべてが私たち、お酒が悪い、飲食店が悪い、本当に何でもかんでも落とし前、全部こっちに持ってきているのが1番の悔しいところ」(配達先の飲食店)

 また店主は協力金などの支給についても「信じられない」と話します。

 「今まで出す出すって言って結局2〜3か月ずっと遅れてきているので、嘘ついてくれているので、そんな嘘ついてくれているところに対して、僕らは正直になってもしょうがない。
現実的に言うと払えるものも払えなくなっている。どうしてもそこは目をつぶるしかない。僕たちも生き残る上でやっていかないといけないので」(配達先の飲食店)

>>2-5あたりに続く)

TBS NEWS
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4313510.html