7/3(土) 9:06配信
日刊ゲンダイDIGITAL

新垣結衣と山下智久(C)日刊ゲンダイ

【芋澤貞雄「裏の裏まで徹底取材」】

 6月26日に見事大団円を迎えた阿部寛(57)主演の『ドラゴン桜』(TBS系)。このドラマがテレビ関係者に再認識させたのはキャスティングの大切さだ。それまで14%台だったドラマの視聴率が、新垣結衣(33)をワンシーンで登場させ、山下智久(36)を”声のみ出演“させたおかげで最終回は20%台超に跳ね上がった。

 それにしても、山下の”声のみ出演“は極めて異例だ。NHK大河ドラマや朝ドラで、画面に登場せずナレーションのみ参加するのは珍しくないが民放の連続ドラマでは珍しい。今回の山下の出演で浮き彫りになったのは、ドラマを制作したTBSとジャニーズ事務所の駆け引きの構図だ。山下は昨年10月末、ジャニーズ事務所を辞めたが、退所の仕方がズサンだったこともあり、「地上波テレビの復帰にはしばらく時間がかかる」というのが業界関係者の共通した見方だった。

 最近の分かりやすい例として、手越祐也(33)や錦戸亮(36)のケースを思い出していただきたい。彼らはそれぞれYouTubeや雑誌などで活躍しているものの、地上波ドラマには出演していない。

 ところが、TBS側はテレビ業界独特の”縛り“を百も承知の上で、『ドラゴン桜』のスタート直後から、山下に盛んにサプライズ出演のオファーを続けてきたという。一方、山下も予想だにしなかった打診に感激し、「ノーギャラでも出演したいくらいです」と前向きな回答を返していた。

 ところが、結局、山下は「矢島勇介」として番組に姿を現すことはなかった。

「『ドラゴン桜』にはKing & Princeの橋海人が出演していましたからね。キンプリは日本テレビ系『24時間テレビ』でメインパーソナリティーを務めることが決まっている他にも様々な仕事が山積しています。TBS側にはジャニーズ事務所が『忙しくなったので残念ながら高橋は途中で降板させます。ゴメンなさい!』なんて言い出しかねないというわずかな懸念があったのでしょう。ドラマ撮影の現場スタッフは山下を引っ張り出すことに積極的でしたが、局上層部の腰が最終的に引けたことは想像に難くありません」(ドラマ関係者)

 さらに言えば、ジャニーズ事務所の所属アーティストがTBSの全番組の"出演自粛"を決めたら局はたちまち立ち行かなくなる。公正取引委員会の注意がジャニーズ事務所にあったのは2年前のことで、事務所側がそんなドーカツまがいのことをすることは100%あり得ないのだが、いまだにビビッて足がすくんでしまうのがテレビ局の体質なのだろう。

■ガッキー出演をめぐってもゴタゴタ

 サプライズ出演をめぐる調整の難しさはガッキーの出演でも見て取れた。こちらは、山下のケースとは真逆だ。

 ガッキーは今年5月に星野源(40)との結婚を発表して世間を驚かせたが、同時に発表した所属事務所の契約終了について双方の”見解の相違“が取り沙汰された。事務所側は「まだ契約は完全に終了していない」という立場だ。

「ドラゴン桜」には新垣の事務所の後輩である南沙良(19)も出演しており、TBSは事務所を通じて懸命にガッキー出演の説得を行ったとみられている。劇中では、ガッキーと長澤まさみ(34)が、15年ぶりの再会を手に手を取って喜ぶシーンが映し出された。

 TBSはドラマに山下の実物を引っ張り出すことはできなかったが、ガッキーは一瞬だが登場させることに成功した。ガッキーの心中は複雑だったに違いないが、「少しでもいいドラマを作りたい」という現場の奮闘ぶりが伝わってきた。局の上層部が相変わらず保守的のようだが、制作現場の奮闘ぶりを見てテレビの将来にわずかな光明が見えた気がした。

(芋澤貞雄/芸能ジャーナリスト)

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