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アスリートへの性的な意図を持った隠し撮りや画像を拡散する行為が社会的な問題となった。応援を先導するチアリーダーも同様の被害で悩まされている。球場でエールを送り合う晴れやかな光景の裏で、隠し撮りによって深く傷つく女性たちを取材した。(共同通信=品川絵里)

「目の前の男性が持っていたバッグに穴が開いていて、そこからレンズがのぞいていた時のむしずが走った感覚は忘れられない」

大学で応援団に所属した20代の女性は球場で受けた経験を、今も強く記憶する。いつ撮影された画像なのか。インターネットの掲示板で、実名をさらされ、画像とみだらな文言とともに拡散された。「ネットで名前を出されて、身の危険を感じた」と振り返る。

各大学では競技場でのチアリーダーの撮影を禁止した上で、見回りをするなど自衛策を取る。だが座席の段差を利用したり、内野席から望遠カメラで撮影したりするなど巧妙な手口で狙われる。応援する姿だけでなく、球場の外で準備や練習している様子を撮影されるケースも。立教大応援団のある現役部員は、腕時計型カメラを持ち込まれる被害に遭った。憤りの声を上げる。

「あからさまに撮っているふうに見せないように、考えながらやっているのがすごく嫌だ。カメラに私たちが気が付いたら、脚を上げる振り付けとかをやめると分かっていて、気が付かない策を取っているのが卑劣だ」

それらは値段が付いた「商品」として流通する。収益を得られる構造がある以上、被害はなくならない。ある大学の部員は昨年、盗撮画像を売買するサイトを目にして、ひどく驚いたという。
「盗撮画像は知っていたけど、商業目的に販売されているサイトを見たのは初めて。実際に目の当たりにして、商業目的というのは重みが違ってきた」

2016年4月、関西学生野球連盟の春季リーグでチアリーダーへの盗撮が確認され、同連盟の学生委員長が京都府警に被害届を提出した。そのシーズンでは事件以降、盗撮行為を発見した場合は厳しく対応する旨のアナウンスを場内で流すようになったという。被害は高校生にまで及ぶ。共同通信が実施したアンケートでは春の選抜高校野球大会に出場した32校中、8校が被害を把握していた。8校全てが「隠し撮りや不適切なアングルでの撮影」を経験し、うち1校は「インターネット上での画像拡散」を挙げた。

中略
やっと動きだした問題だ。チアリーディングをやっていた女性は切実に訴える。
「自分が好きな格好をして、好きな踊りをしたいだけ。自分の『パフォーマー』としての一面を見ていただいて、評価されることは、とても楽しかった。しかし、自分の性的な面ばかり切り取られる現状を前に、一体誰のために踊っているのか、分からなくなった」

「チアリーダーの服装は、パフォーマンスにおける自己表現であり、コスプレや性的な連想をさせるための服装ではない」
「ネットの掲示板では好奇や性的な目線で、あることないこと性的な表現を浴びせられた。『そんな格好をしているから撮られても仕方がない』という無言の圧力が、この世間にないと言い切れるか」

体育・スポーツにおけるジェンダー問題を研究する立教大の佐野信子教授は「盗撮事件においてチアリーダーに責任は全くない、という確認をした上での議論になるが、盗撮被害を避けるために、チアリーダー自身がスカートやその中に履くアンダースコートを長くする、さらには、スカートを手放しズボンにする、という対抗策を主体的に取ることも可能ではないか」と問い掛ける。
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