https://natalie.mu/music/news/434913

人間椅子の通算22枚目となるアルバム「苦楽」が8月4日にリリースされる。

人間椅子にとって2019年発売のデビュー30周年記念アルバム「新青年」以来、約2年2カ月ぶりのオリジナルアルバムとなる本作には、全13曲の新曲を収録。ジャケットには荘厳な観音がサイボーグ的な装いとデジタル的なタッチで描かれている。リリースに先駆け、明日7月1日にはアルバムのオープニングナンバー「杜子春」が先行配信される。

また人間椅子はアルバムを携えて全国ツアー「苦楽 〜リリース記念ワンマンツアー〜」を開催。8月20日の長野・NAGANO CLUB JUNK BOX公演から9月27日の東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演まで全14公演を予定している。

和嶋慎治(G, Vo)コメント
昭和の子供たちが漠然と未来に思い描いていたのは、バラ色の二十一世紀、みんながニコニコと快適に暮らす明るい社会でした。さて、果たしてやって来た二十一世紀はどうでしょうか。快適にはなったかもしれません。しかしバラ色かといえば、どうもそうとは思えません。無邪気に個性を出すこと、突出した行動を取ることは半ば悪と見なされ、個人的には息が詰まりそうな空気を感じています。昨年来からは、これはいちおう突発性の事象なのでしょうが、笑顔をお互いに見せあうことも叶わなくなりました。まるでジョージ・オーウェルの予見したディストピアのようです。この度の災害が数年後に何らかの終結を見たとして、その時にいったいどんな未来が待ち受けているのか、想像するだに戦慄を禁じ得ません。
我々は豊か、快適という名前の楽な道を選んできました。しかし、思うのです。苦しみがあってこその人生なのではないかと。実りを得るためには、苦労して畑を耕さなくてはなりません。人は生まれ、死に、その間に多くの別れを経験し、愛情を覚えます。悲しみと苦しみから他人を許すことを知り、お互いに尊重し合えるようになります。いってみれば、苦しみこそが幸せなのかもしれません。昨今の息苦しさは、苦労を片隅に追いやった(あるいはそのように仕向けられた)結果のように思えてなりません。
おそらく、苦と楽は表裏一体です。苦しみがあってこそ楽が輝き、幸せを感じるのです。今回のアルバムでは、人生における悲しみと苦しみ、最悪の未来図、人間らしくという意味では間違った選択、などをハードなサウンドで描きたく思っています。もちろん、いたずらに批判的にならぬよう、特定の事象をあげつらわないよう、細心の注意を払うつもりです。現代の視点から、普遍的な事柄を歌うことが出来たなら、大いに成功といえるでしょう。
ちなみに「苦楽」とは、戦前〜戦後の大衆文芸誌の名前でもあります。江戸川乱歩の「人間椅子」は、この雑誌に発表されました。前アルバム「新青年」の次作として面白く、またふさわしいとも思えましたので、このタイトルを提案させていただきました。

全文はソースをご覧ください

人間椅子「苦楽」ジャケット
https://ogre.natalie.mu/media/news/music/2021/0630/ningenisu_jkt202108.jpg
https://ogre.natalie.mu/media/news/music/2021/0630/ningenisu_art202106.jpg