numberweb6/23 11:02
https://number.bunshun.jp/articles/-/848552

今年の11月7日に行われる全日本には、昨年の大会で8位までに入った駒澤大、東海大、明治大、青山学院大、早稲田大、東洋大、帝京大、順天堂大がすでにシード権を獲得している。

そして今年の選考会の上位7校が本大会へと進出するが、結果は次の通りとなった。

1位 東京国際大学
2位 國學院大學
3位 法政大学
4位 拓殖大学
5位 中央大学
6位 中央学院大学
7位 日本体育大学

(略)

予選会においては、本戦には手が届かなかった学校にも見るべき点はある。

東京六大学から参加した法政、慶応と立教のうち、法政は3位通過。慶応と立教は通過ラインからは遠かったものの、1組目から順位を競っていた。

選手のリクルーティングに関しては、このところ立教の華々しさが目立っているが、慶応にもいい選手が入学している。

名門・九州学院(熊本)出身で、昨年の高校駅伝で留学生区間である3区で区間15位と健闘した田島公太郎は、最終組で30分19秒72。また、高校2年の時に1500mでインターハイ14位に入った安倍立矩(厚木・神奈川)は30分59秒67で走った。

3組目の安倍は、1周目で3番手につけ、積極的なレースを見せたが、「あれ、こんな位置で走るつもりじゃなかった……と気づいたときは遅かったです(笑)」と反省。聞けば、高校3年の時はコロナ禍でインターハイがなくなり、早々に受験勉強に切り替えて、理工学部に現役合格を果たしたという。

昨年の箱根駅伝の予選会でも、慶応は少しずつ上向いていた。今回の予選会でも、チームとしてはいい方向に向かっているように思える。

20チーム中16位の立教に「爪痕」を残した選手が
期待値が高まっている立教は、2018年12月に上野裕一郎監督が就任して、実質の指導は3年目となる。ただし、昨年10月に行われた箱根駅伝予選会では、慶応が19位、立教が28位と苦戦を強いられた。

今回は20チーム中16位。ただし、「爪痕」(つめあと)を残した選手がいる。3組目で走った服部凱杏(2年/佐久長聖・長野)だ。

服部は高校時代から実績があり、進学先が注目されていた選手だ。日本選手権の1500mにも出場予定だが、この日は序盤から40人から成る集団を先頭で引っ張った。

「自分のペースで気持ちよく走れましたよ。最初から引っ張るつもりはなくて、結果的に前に出る形になっただけですけど」

立教の急激な成長がいつになるか
途中、1000mのラップが2分40秒台に上がった時があったが、服部は番手を下げたものの、冷静だった。

「もう一度、ペースは落ちてくると思ったので、中団で様子を見てました。そのおかげでラストを上げられました」

冷静なレース運びは、名門校で磨かれたセンスだろうか。ラスト一周もしっかりと上げてフィニッシュ、タイムは29分22秒88の自己ベストだった。

「上野監督から、今日は組トップか、自己ベストのどちらかを狙っていこうと言われていたので、とりあえず目標はクリアしましたけど、もう少し勝負に絡みたかったですね」

今後はトラックで記録を狙いながら、10月の箱根予選会に照準を合わせていくという。この日走った立教の8人の選手構成は、4年生が1人、2年生が5人、1年生が2人。29分台は3人と、今年度にいきなり箱根の本戦出場は難しいだろうが、徐々にベクトルは上向いている。

過去、長年の低迷から抜け出して箱根に出場するチームは、急激な成長を見せるもの。その年がいつになるか。「駒大一強」の声が大きいが…取材を終えて、各大学のマイクロバスがある駐車場を歩いていると、運転席に座っていた神奈川大学の大後栄治監督が、窓を開けて声を掛けてくれた(大学長距離界では、自らハンドルを握る監督が多い。一度、合宿地の狭い道を超絶技巧で運転していく東洋大の酒井俊幸監督を見て、たまげたことがある)。

神奈川大の結果は11位。「7枠あるので今年は狙っていきます」と話していただけに、想定外の結果だったのだろう。

「残念ですね。まだ、脚が出来ていない選手が多かったということです。箱根駅伝の予選会に向けて、もう一度、しっかり作り直さないといけません」

落胆の色が見えた。雨が降る夜、きっと神奈川大のキャンパス近くにある合宿所まで、バスの中は静かなことだろう。

全日本大学駅伝の本番は、11月7日。今年の勢力図は「駒大一強」の声が各所から聞こえてくるが、夏合宿を経て、この予選会の通過校も、走るのが叶わなかった学校も、どんな成長を見せてくれるだろうか。ひと夏で、学生は大きく変わる。
(一部略)