IOC(国際オリンピック委員会)の会長の問題発言に日本中が怒り心頭だ。バッハ会長は22日、国際ホッケー連盟のオンライン総会のあいさつで「東京大会を実現するために、我々はいくつかの犠牲を払わなければならない」と発言。「われわれ」が日本人を含んでいるかは不明だが、さすがに日本中から「誰に犠牲を求めているのか」と反発が沸き起こっている。

なぜ、日本人の神経を逆なでするような言葉を口にしたのか。

 バッハ会長は西ドイツ(当時)のバイエルン州出身。フェンシング選手として活躍し、1976年にモントリオール五輪のフルーレ団体で金メダルを獲得している。

 大学では政治学と法学を学び、82年に司法試験に合格して弁護士事務所を開設した。アディダスの国際関係部局の責任者を皮切りに、電機大手シーメンスの顧問などを歴任。スポーツ界にも食い込み、91年にIOC委員に就任。96年に理事になり、2013年、第9代IOC会長に選出された。

 バッハ会長は先ごろ、米紙ワシントン・ポストに「ぼったくり男爵」と批判されたばかり。IOC会長としての年収は22万5000ユーロ(約2970万円)だが、実収入は軽く億を超えているのではないか、とみられている。

 国際政治経済学者の浜田和幸氏が言う。

「年収は最低でも1億円と言われています。また、IOCが設立したネット放送局『オリンピック・チャンネル』に自分の親族を入れている。ちなみにバッハ氏は貴族の家系ではない。『ぼったくり男爵』という蔑称は、五輪創設者クーベルタン男爵をもじった皮肉でしょう」

 IOCは32年までの夏冬6大会で、米NBCとの契約だけでも76億5000万ドル(約8200億円)の契約を結んでいる。無観客でも大会が開かれれば放映権料が入るため、どんな犠牲を払ってでも日本政府に東京五輪を開催させるつもりのようだ。

「バッハ氏は弁護士だから、たとえ五輪を強行して東京にコロナが蔓延しても、責任の抜け道も考えているはずです」(浜田和幸氏)

 情けないのは、「犠牲」発言に対して、菅首相も、小池都知事も、丸川五輪相も、橋本組織委会長も、真意を求めることもせず、だんまりを決め込んでいることだ。

「バッハ発言が『日本人は犠牲を払ってでも五輪を開催せよ』との意味だとしたら、日本は国辱を受けたことになります。それでも日本が説明を求めないことに、バッハ会長は『やはり日本は自分に逆らえない』とほくそ笑んでいる可能性があります」(政治学者の横山北斗氏)

 いまごろ「バッハハハ!」と高笑いしていておかしくない。

日刊ゲンダイ
5/25(火) 16:30
https://news.yahoo.co.jp/articles/1a9d35c04dad44e71d5349f6a49c8b83e8d1b93e