ふたまん 05.25
https://futaman.futabanet.jp/articles/-/120578

■宇宙に革命をもたらした新粒子
 戦闘開始前にブライト・ノア艦長が「ミノフスキー粒子、戦闘濃度散布!」などと命じる場面があります。この「ミノフスキー粒子」という言葉を聞いて、なんとなく「戦闘時に必要なものなんだろうなぁ」くらいのふんわりした認識だった方も多いのではないでしょうか。

 現実の戦争でも「チャフ」と呼ばれるレーダーを妨害するための物質を散布しますが、ガンダムに登場する「ミノフスキー粒子」は放射線すら遮断するチャフの一種として用いられ、戦場で敵軍のレーダーや通信などの機器を使用不能にするために使われました。

 しかし、ミノフスキー粒子のもたらした影響はそれだけでなく、そもそもモビルスーツが誕生した理由にもつながっています。本来、宇宙での戦争は宇宙戦艦同士による超遠距離からの砲撃戦が主流でしたが、ミノフスキー粒子を散布することによってレーダーや遠距離通信が使用不能に。これにより近距離での有視界戦闘が求められるようになります。

 そこで宇宙での有視界戦闘やコロニー内での移動にも適した機動力を持つ小型ユニットとしてモビルスーツが誕生。ジオン公国軍はいち早くザクを量産化させ、地球連邦軍との戦争において序盤は優位に立つことができました。そんなモビルスーツの動力源にも、ミノフスキー粒子の応用技術が用いられています。

 ちなみにミノフスキー粒子は「メガ粒子砲」「Iフィールド・バリア」「ミノフスキー・クラフト」「ミノフスキー・ドライブ」をはじめ、さまざまな新技術に応用され、のちの作品にも大きな影響を与えることになります。

■アクシズで起こった奇跡の要因に?
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場したのが「サイコフレーム」という技術。ロンド・ベルのメカニックであるチェーン・アギが、アナハイム・エレクトロニクスの技術者から提供された、T字型の「サイコフレーム」のサンプル品を腰につけていたシーンが印象深い、あの物質のことです。

 アムロのνガンダムは、サイコフレームを採用することで性能が上がったうえに、機体重量が減少。ようするにνガンダムがパワーアップすることにつながった新技術で、オカルトチックな力が働く不思議な素材……という漠然としたイメージを抱いている人が多いことでしょう。

 私自身も最初に『逆襲のシャア』を見たとき同様の感想を抱いたのですが、劇中でのサイコフレームに関する発言をひもとくと、その原理などが解説されていました。

 アムロは「敵の脳波をサイコミュで強化して受信できれば対応は早くなるからね」と語り、自身が設計に携わったνガンダムにサイコミュを受信する装置を搭載します。この「サイコミュ」とはニュータイプが発する感応波をマシンに伝えるシステムのこと。サイコミュによりビットやファンネルといった武装を遠距離から誘導・攻撃することも可能でした。

 そんなνガンダムに搭載されたアムロのアイデアをヒントに、サイコミュの機能を持つ粒子レベルの極小コンピューターチップをフレーム内に封じこめたのが「サイコフレーム」という新技術です。ちなみにサイコフレームを完成させたのはシャア・アズナブル率いるネオ・ジオン陣営で、その技術をロンド・ベルに流したのはシャア自身だったりします。

 しかし、ニュータイプのアムロが乗る機体がサイコフレームによって真価を発揮するのはなんとなく理解できますが、サイコフレームを身に着けただけの一般メカニックのチェーンにも不思議な現象が起こりました。

 チェーンはラー・カイラムの機銃で、ネオ・ジオンの腕利きパイロット「レズン・シュナイダー」が操縦するギラ・ドーガを撃墜しますが、その直前チェーンが腰につけていたサイコフレームが謎の発光をしていました。

 さらにチェーンがボロボロのリ・ガズィで出撃したとき、クェス・パラヤの操縦するα・アジールの攻撃が機体に直撃したかに見えましたが、おそらくサイコフレームのものと思われる謎の力でリ・ガズィは守られます。

 結局ハサウェイによってチェーンのリ・ガズィは撃墜されますが、このときチェーンから放たれたサイコフレームは光を放ちながらアクシズ周辺を飛行。アムロも「なんだ、チェーンか? 来るのか?」と反応し、チェーンの所持していたサイコフレームをチェーンそのものだと認識したようです。

 そしてロンド・ベルの奮戦もむなしく、地球に落下を開始したアクシズ。アクシズを押し返そうと集まった人々の意思が集中し、それにνガンダムとサザビー、チェーンの持っていたサイコフレームが共振して増幅、アクシズの地球落下を阻止するという奇跡を起こすことになります。

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