経済アナリストの森永卓郎が4月28日(水)、ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」に出演。新型コロナウイルス感染拡大を受けて出された3度目の緊急事態宣言について、オリンピックとの関連性を指摘した。

新型コロナ対策を助言する厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」は、変異株について全国的に置き換わっていくことが予想される、との見解をまとめた。新規感染者数は増加しており、感染拡大が高齢者に波及すると、重傷者がさらに増えるとの懸念も示している。このニュースに対して森永がその裏側を読み解いた。

「アドバイザリーボードというのは、政府の組織ですから身内なわけですよ。ここが緊急事態宣言が始まって2日目に「これからも増えていくだろう」という予想を出したということは、今回の緊急事態宣言は大失敗だったということなんですね。

私はこの予想は正しいと思うんです。なぜかというと、イギリス型の変異株の感染力は1.35倍から1.75倍強いと言われているんですよ。この強い変異株に対して戦おうと思ったら、対策もそれだけ強いものを打たなければいけないんですけれど、今回は営業自粛を求めるのが床面積1000平方メートル以上というすごく大きなところだけを対象にしているから、それで人出が減るわけがないのは最初からわかっていたと思うんです。だから、うまくいって横ばい。下手をすればズルズル増え続けるという、弱い対策を打ったわけですよね」

多くの人が集まった新橋駅近くの公園では、警備員(左手前)が密を避けるよう呼び掛けていた=2021年4月16日午後8時24分、東京都港区 写真提供:時事通信社

「菅総理の“2週間で短期間にガツンと抑えるんだ”という総論は、私は全面的に賛成なんですけれど、それを支える手段になっていないわけです。何でこんなことになってしまったのかということなんですが、根拠のある話ではないんですが、実はガツンと抑えちゃうと、また解除した後に今度は第5波が来ちゃう。それが7月の中旬から下旬ぐらいになるだろうと言われているんですね。

ということは、ちょうど東京オリンピックの開幕にぶつかっちゃうわけですよ。だから、はなからあまり効果がないのはわかっていて、とりあえず緊急事態宣言を出して、これから対象業種とか対象となる地域をじわじわ増やしていって、延々と7月の下旬までこれを引っ張るつもりなんじゃないかと私は思うんです。とにかくオリンピックは何が何でもやるということなんじゃないかと思うんです」

緊急事態宣言で強い対策を打たないのは、東京五輪を開催するためではないかと指摘した森永。さらに、小池東京都知事に対して、「『東京都に来ないでください』と言っておいて、何で『オリンピック選手は来てください』と言うのか。その理由がまったく理解できない。コロナの感染終息を最優先に考えないと、みんなボロボロになってしまう」と訴えた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/776ec69df3959df9e79c06809392df7377b7203b
5/1(土) 17:40配信