作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの特別番組「村上RADIO」。第22回目放送となる今回は、2月14日(日)に開催された配信ライブイベント「TOKYO FM開局50周年記念 村上春樹produce「MURAKAMI JAM 〜いけないボサノヴァ Blame it on the Bossa Nova〜 supported by Salesforce」(以下、「村上JAM」)の模様を凝縮して、3月29 日(日)にオンエア。

音楽監督・大西順子さんが率いる「MURAKAMI JAMボサノヴァバンド」をはじめ、ジャズピアニストの山下洋輔さんと坂本美雨さんのパフォーマンス、村治佳織さんのクラシックギターをバックに村上さんが朗読を披露するなど、盛りだくさんの内容でお送りしました。
この記事では、第1部での小野リサさんの出演パートの模様を紹介します。

美雨:ボサノヴァといえばこの方、お招きしましょう。小野リサさん! リサさんはブラジル生まれでいらっしゃいますね。10歳までブラジルに住まわれていました。ボサノヴァは住んでいたら自然と耳にし、自然と身に付くものなんでしょうか?

小野:わたしが生まれたころは、ボサノヴァがラジオで(普通に)かかっていましたけど、当時の人々はボサノヴァが生まれてすごくショックを受けたんですね。新しいものだったのです。その前の音楽は、朗々と歌い上げるような懐メロとか、丘の上のサンバだったりしたんですけど、そんななかで中間の心地よい音楽が生まれて、皆さんワクワクしていたと思います。

村上:「イパネマの娘」とか「コルコバード」っていやと言うほど歌ったでしょう? 僕もいやというほど聴いてきたんだけど、でも不思議に飽きないですよね。

小野:そうなんです、なんでしょうね。

村上:リズムとハーモニーがすごく特殊で魅力的なんだと思います。だから次にこのコードが来るとわかっていても、ぐっときちゃうところがある。

小野:そうですね。ボサノヴァのリズムは、「チクタク、チクタク」と4分の2拍子なんですけど、うちの父が「心臓の鼓動と同じなんだ」と言っていました。そのリズムとハーモニーが、やはりテンションが少し入ってパステルになって……。

村上:でも、(アントニオ・カルロス・)ジョビンのコードって普通じゃないですよね。

小野:ジョビンはたくさんの曲を作曲されましたけども、もともとはクラシックがとても好きだったみたいで、その影響もあって、クラシック音楽をポピュラーにしたいというところがあると思います。

美雨:リサさんが「ボサノヴァはアメリカ人よりも、もしかしたら日本人のほうが得意かもしれない」と仰っていたのが印象的でした。

小野:アメリカの音楽はジャズもロックもオフビートで、リズムの捉え方が反対なんですよね。サンバもボサノヴァもオンビートで、日本の音楽、古い音楽もお祭りの音楽もオンビートなのです。

美雨:アントニオ・カルロス・ジョビンはボサノヴァの創始者と言われていますけれど、今回はボサノヴァがテーマということで、特にアントニオ・カルロス・ジョビンの楽曲に特化してお送りしようということになっております。ということで、小野リサさん、演奏をお願いします。

4/23(金) 7:20配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/eb176fc9ed3f9b90a74f9866b156010e3b242f91?page=1