お笑い第7世代として、若手芸人の中でも特に注目を集めるお笑いコンビ「EXIT」のりんたろー。
さん。ブレーク前には8年間、介護事業所でアルバイトをしていた。そんな、りんたろー。さんに介護の仕事について聞いた。

■お笑いのエネルギーに

りんたろー。さんがお笑い芸人と並行してデイサービス事業所(デイ)でアルバイトを始めたのは23歳のとき。
近隣に開業するデイの職員に応募した。
「おばあちゃん子だったし、オープニングスタッフなら何とかやれるかも、チャラ男と介護のコラボも何か面白いものが生まれるかも、と思いました」

 経験豊富な介護スタッフらに教わりながら仕事を開始。
「不安だった排泄ケアは、やってみたら全然平気。急にお笑いの仕事が入っても、仲間が応援して送り出してくれました」

とはいえ、当時は本業のお笑いは順調ではなかった。「しんどい、つらいといった負の感情が大きくて、介護のバイトが大切な時間でした」

 当時のコンビを解消し、お笑い芸人としての行く末に悩んでいたころ、デイを利用する要介護の男性にふと言われた。
「兄ちゃん、芸人なんだって? 頑張れよ」。それを聞き、「まだ頑張れる」と思い直した。

■「一番優しい子」

 りんたろー。さんが介護の仕事を選んだ背景には、祖母との温かな関係がある。北海道に住む80代の祖母は昔から
「りんちゃんは、一番気持ちが優しい子だよ」と何度もほめてくれた。

サッカーでプロを目指していた学生時代も、売れっ子芸人となった今も連絡を欠かさない。
「最近、めちゃくちゃ頻繁にかかってくるんですよ。毎日電話してます」

 電話に向かうりんたろー。さんの声は穏やかで優しい。お笑いで見せる明るく刹那的な「チャラ男」とは正反対だが、
「どっちも『自分』。すごく自然なんです」と笑う

■「僕がやるべきこと」

 昨年12月にりんたろー。さんと介護福祉士のコラボレーションで開かれたオンラインイベントでは、
家族の介護に向き合う人や介護の仕事に携わる人から「介護をしていてイライラしてしまう」などの切実な声も寄せられた。

 「イライラする自分も認めてあげるのが大事。外に助けを求めるのも、大事な人を嫌いにならないために必要だし、それも愛の形だと思います」

 介護の仕事をしていた頃、自分のケアで相手が明るい表情になったり、食べる量が増えたりしたときに喜びを感じた。
「声を出せなくても伝わるコミュニケーションがある。

僕をきっかけに介護に興味を持ったり、(介護者が)一瞬でも気持ちを楽にしてもらえたりすることがあるなら、
介護に関する発信も僕がすべきことだと思います」

https://www.sankei.com/life/news/210219/lif2102190009-n1.html
https://www.sankei.com/life/news/210219/lif2102190009-n2.html