2/5(金) 8:40配信
オリコン

映画『すばらしき世界』で“ヒール役”に挑んだ長澤まさみ(撮影:田中達晃(パッシュ)(C)oricon ME inc.)

 昨年デビュー20周年を迎え、今年の日本アカデミー賞では『コンフィデンスマンJP プリンセス編』『MOTHER マザー』の2作で優秀主演女優賞を受賞した長澤まさみ。シリアスからコミカルまで幅広い役柄を演じ、11日公開の映画『すばらしき世界』では、ヒール役となるテレビマンに挑戦。20年間途切れることなく新たな役に挑み続けてきた印象だが、その裏には常に「孤独があった」という。10代の頃から“孤独”と向き合い、走り続けてきた長澤にその原動力を聞いた。

■役に対して共感ない 自分への理解も求めていない「100%誰かを理解するのは難しい」

 『すばらしき世界』で長澤が演じた吉澤は、殺人歴がある三上正夫(役所広司)が13年ぶりに出所し、彼を番組の“ネタ”として取材するようたきつけるプロデューサー。利益のためなら下世話さや冷徹さが前面に出る“嫌な役”だ。

西川美和監督は、“この役は長澤まさみしかいない”と思ったといい「きれいな女優さんであればあるほど、なかなかヒール(悪役)を受け入れることに時間がかかると思うんです。でも今の長澤さんなら、これくらいの悪役は、跳ね返してやってくれるだろうなと思ってお願いしました」と語った。

――ヒール役となる吉澤を演じてみて、いかがでしたか?

【長澤まさみ】吉澤はテレビマンとして、深く何かを追求して伝えたいという思いがあるので、妥協しない正義感は大切にしたいと思いました。そのためなら吉澤は女の武器も使うし、何でも貪欲に取り組むので、その思いを強く意識しましたね。

――演じてみて、共感できた部分や逆に理解できなかった部分があれば教えてください。

【長澤まさみ】根本的に、役に対して共感をしようとも思っていないし、理解できないとも思わないんですよね。価値観が違うなと思うだけなので。特に吉澤は、「こういう人もいるよな」という感じでした。ただ、女性が社会で働くことの大変さは吉澤として感じましたね。

――どういった部分でそう感じたのでしょうか?

【長澤まさみ】吉澤は他にネタをとられたくない一心で動いているし、テレビマンは自分の心と感情の折り合いをつけるのが大変なんだろうなと。やっぱり厳しさの中に生まれるものはあると思うので、どこかで冷酷さも持ち合わせているんだろうと感じました。

――信念を持つがゆえに、吉澤は犠牲にするものもあったかと思います。長澤さんも女優業をしてきて、犠牲にしてきたものはあると思われますか?

【長澤まさみ】一つのことに打ち込んでいる時って意外と余裕がなくて。時間もないし、一生懸命打ち込んでいるだけなのであまり感じていないかもしれません。どの仕事にも言えると思いますが、自分がやりたいことをやっていたら、ある程度の犠牲は必要だし、それを犠牲ととるのか、自分に対しての学びととらえるのかは、人それぞれなのかなと思います。

――テレビマンを演じてみて、改めて報道する側とされる側の関係について思うことはありましたか?

【長澤まさみ】私も普段取材を受ける時は、話す言葉に気を付けて責任を持つ努力をしています。お互いにそれがあることがベストなんじゃないかと思いますね。でも、人それぞれ感じ方や思うことは違うので、自分の思っていることを100%伝えるのは難しいですよね。がんばっても伝えきれない部分もあるし、脳の中に入らない限り、本当にその人のことを知ることはできないですから。
>>2続く

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https://news.yahoo.co.jp/articles/c5227881bc1ce718e38e268530f8b35b38d4de1a