■「おもしろ荘」がオードリーに小島よしお、ぺこぱ…ネクストブレイク発掘の指標に
 そして、『ぐるナイ』のもう一方の軸となる「おもしろ荘」は2007年にはじまった企画。「面白そう」=「おもしろ荘」のタイトル通り、まだ世間では知られていない芸人たちのネタを発掘しようという趣旨で始まった。今年はダイヤモンドが優勝したが、過去には小島よしおにはじまり、ジョイマン、オードリー、日本エレキテル連合、ブルゾンちえみ、ぺこぱといった新たなお笑いスターを世に送り出してきた実績がある。

 先述の小島よしお、ジョイマン、オードリーがブレイクすると2010年にはお正月の特別番組枠で放送されるようになり、2012年からは岡村隆史と有吉弘行、出川といったレギュラーが優勝者を決める形式となった。

 以降、横澤夏子、永野、あばれる君、おかずクラブ、8.6秒バズーカー、ブルゾンちえみ、ぺこぱ、エイトブリッジ等々の若手芸人を輩出。直近で言えば、2019年の優勝者ぺこぱは昨年大ブレイクを果たし、2020年の優勝者エイトブリッジも着実に露出を増やしている。

 地上波のネタ番組が激減した今、『M‐1グランプリ』(テレビ朝日系)、『ゴッドタン』(テレビ東京系)と並び“業界視聴率”も異様に高く、“次代の若手芸人”を発掘する場として定着。日本テレビ系列では、大晦日は『笑ってはいけない』シリーズ→「おもしろ荘」への流れが確立されたと言っても過言ではないだろう。

■当初は体当たり企画も!? 試行錯誤を繰り返して生まれた“消費されないフォーマット”

 ちなみに、そもそも『ぐるナイ』自体、スタート時は日曜の夕方に20〜30分ほど放映する番組で、ナイナイらしい体当たり系のロケ企画などが中心だった(1994〜1997年)。

 ゴールデンに移行してからは「ゴチ」が軌道に乗るも、2001〜2005年までは「年越しカウントダウンスペシャル!シリーズ」として、岡村が巨大火炎丸太や巨大炎大玉を受け止める的な(オチは岡村の尻のアップだったりする)、当時のナイナイらしい体を張った企画も放送していた。

 プライムタイムの冠番組としては『めちゃ×2 イケてるッ!』(フジテレビ系/1996〜2018年)が先にスタートしているが、純然たる冠番組としては『ぐるナイ』が先となり、今も現役という点を踏まえても、まぎれもなくナインティナインの代表作と明言できる。

 1994年の番組開始から27年。ナイナイのふたりはもちろんのこと、フリーになっても「ゴチ」MCを続ける羽鳥慎一や、18年間「ゴチ」に出演し続けた国分太一は、この番組からバラエティ進出へと新たに成長していった感がある。

 また、放送開始当初のテーマである“なんでもおもしろがる”姿勢は決して枯れてしまったわけではなく、今の「おもしろ荘」にしっかり継承されている。大衆向けの「ゴチ」とお笑いファンが注目する「おもしろ荘」、“マスとコア”の両立という点において絶妙なバランスを維持し続けていることも長寿たるゆえんだ。

 日本テレビを代表するバラエティ番組は? と問われた際、まず挙がるのは『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』だろう。だが、コンテンツの強度、汎用性や代謝という点においては同番組をも凌ぐと言っても過言ではない。我々はまだまだ『ぐるナイ』を過小評価しているのかもしれない。