菅首相:
「ぜひ、国民のみなさんにおいては年末年始、静かに過ごしていただきコロナ感染を何としても食い止める」

 GoToトラベルの一時停止を発表した際に、静かに過ごすことを呼び掛けた菅首相。しかし、その夜GoToしたのは王貞治さんや杉良太郎さんなど著名人が参加する会食…。

杉良太郎さん:
「今日はみんなで野球の話とか、そんな話を…忘年会です。(Q.楽しい忘年会?)はい」

 自粛ムードの中、行われた「忘年会」。しかも政府が大人数の会食を控えるよう呼び掛けるにもかかわらず、8人ほどが出席していました。

 政治家のモラルが問われる会食は、このほかにも…。

愛知県西尾市議会 小林敏秋市議:
「軽率な行動をとったこと、西尾市民に心よりお詫び申し上げます」

 愛知県西尾市では市議会議員14人がコンパニオンを同席させ旅館で宴会していたことが判明したのです。

同・石川伸一市議:
「(会派の中で)懇親会をやめた方がいいんじゃないかという声は個人的に聞いていません」

 一方、街で「忘年会」について聞いてみると…。

男性:
「僕の会社に関してはやらない」

別の男性:
「忘年会は無くなりました、コロナなんで、仕方ないことだと思います」

 コロナの影響で軒並み、会社の忘年会が無くなったとの声が…。実際、12月行われた全国およそ1万社への調査では、94%が「忘年会や新年会を開催しない予定」と回答しています(東京商工リサーチ調べ)。また、「忘年会禁止」を呼びかける会社もあるようで…。

男性:
「『したらダメです』みたいな。うちの会社の場合、一人でも感染したら業務がストップしちゃうんで。逆にもう自分らからやめとこうみたいな感じもある」

女性:
「『極力やめてほしい』的な感じですけど、(行っても)罰則とかはないと思うんですけど、個人の考えで守ろうかなって感じです」

別の男性:
「友達ともちょっとやめとこうかってことで…(会社から)なるべくそういったことは控えるようにと」

また別の男性:
「全くできないってわけではないかなと思ってるんで、家とか節度を守れば。国がここまでOKっていう範囲でやるなら僕はいいかなって思いますね」

 コロナによって一変した今年の忘年会事情。会社はどこまで社員の行動を制限できるのか、友達との忘年会もやってはダメなのか…。菊地幸夫弁護士に伺います。

Q.例えば会社が「友達との忘年会もダメ。破ったら処分する」などと、私的な忘年会まで禁止するという場合、法律的な問題は出てくるのでしょうか?

菊地弁護士:
「労働者と使用者の方は労働を通した法律関係ですので、上司が業務命令を出せるのはあくまでも職場の範囲です。それを越えたプライベートまで行為を規制するのはなかなか難しいと思います。ましてや、そのプライベートでの行為を処分の対象にするというのは、仮に処分が行われた場合、後で無効ですよとなる可能性も出てきます。

 ただ一般論として、医療従事者の方ですとか、高齢者の施設で働いている方ですとか、より細心の注意を払わなければならないという方に対しては、プライベートなところでも忘年会はなるべく回避というのは、無い話では無いという可能性があると思います。ただその場合でも処分というところまでいくのでなく、なるべく抑制的にしていただければと思います」

Q.逆に、会社で少人数の会を開催するという場合、「4人だったらいいだろう。業務命令で出席な」などと上司の方が言ってきた場合はいかがでしょう?

菊地弁護士:
「どうしても一杯入った席で仕事の話をしなければならないということもあるのかもしれませんが、通常は業務から外れた時間ですよね。ですから、そこで命令として出席を強制するのは権限を逸脱しているということになると思います。

 ましてや上司としては従業員の安全や健康に配慮する義務がありますので、その義務違反にもなり得ます。それから職場での地位を利用して通常の適切な範囲を越えて強制するというのはパワハラになる可能性があります。

 また勤務時間後に、超過勤務手当も払わずにそこにいさせるのは労働法上の問題も出てきますし、さらに感染してしまったということになれば、例えば幹事を命じられた人が感染したということになると、労災というような問題も出てくる可能性もあります。もう法律問題が山盛りです」


(関西テレビ12月23日放送『報道ランナー』内「そこが聞きたい!菊地の法律ジャッジより)

最終更新:12/26(土) 7:02
https://news.yahoo.co.jp/articles/8ef3a7a6ebcca5de79e03a55b6242197be069781