来季は厳しい局面からのスタートを強いられそうだ。タンパベイ・レイズの筒香嘉智外野手のことである。

 球団のエリック・ニアンダーGMが来季の筒香の起用について一塁手としての起用を検討すると明かした。発展的なコンバートという見方よりは“苦肉の策”との感が否めない。残念だが、これは米球界の中でもほぼ一致した見方だ。

■ 一塁手のポジションも安泰ではない

 横浜DeNAベイスターズから昨オフ、2年総額1200万ドル(約12億5000万円)の契約内容でMLB(メジャーリーグ)のレイズへ移籍した。“ハマの大砲”の異名を持つ29歳にレイズ側は大きな期待を抱いて迎え入れたものの、今季51試合で打率1割9分7厘と低迷。8本塁打、24打点と2部門ではチーム2位の数字を残したとはいえ、安定した成績を残したとはどうしても言い難い。

 チームはワールドシリーズ進出を果たしたが、ポストシーズンではカヤの外に追いやられるようになっていた。今年1月にセントルイス・カージナルスから移籍してきたランディ・アロザレーナ外野手が台頭し、リーグ優勝決定シリーズで新人野手としては史上初となるMVPに輝くなど大活躍を果たした。左翼も守れる長打力抜群のキューバ出身25歳が頭角を現したことで、ポジションが被る筒香の出番は激減した。

 新天地で迎えた今季は本職の左翼以外に開幕から三塁守備にもついたが、日を追うごとにヤンディ・ディアスやジョーイ・ウェンドル、マイク・ブロッソーら攻守両面で能力の高いユーティリティープレーヤーの豊富な層に阻まれ、次第に別の起用法へ活路を見出さざるを得なくなった。ポジションを複数こなせる上に高い打力も誇る選手が比較的多いレイズは「DH(指名打者)」も激戦区だ。

 筒香にとって来季検討されている一塁守備はベイスターズ時代の2014年を最後に公式戦で守っていないポジションだが、起用法が限りなく狭まっている現状を考えるともう四の五の言っていられる立場ではなくなりつつある。球団としては“何とか一塁もこなしながら来季こそ真価を発揮してほしい”と祈るような思いを込めながら、悩める筒香の目覚めを待っているというのが本音だろう。

 しかしながら、その一塁にもスイッチヒッターで筒香と同い年の29歳・崔志万(チェ・ジマン)が今年のポストシーズンでは18試合にレギュラーとして出場しており、37打数10安打で打率2割7分、2本塁打、4打点、8得点と存在感を示した。今季打率3割をマークした前出のキューバ出身29歳・ディアスも一塁守備をこなせることから入り込む余地は決して多くない。

■ 一部に「来季帰国」説

 さらなる逆風も吹き付けている。米国では新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、MLBの開幕が来季も延期濃厚となっている。オーナー側はキャンプイン前に選手、スタッフら全ての関係者に新型コロナウイルスのワクチン接種を済ませるように求めていく姿勢を示しているが、全員にワクチンが行き渡ることは困難な状況。ワクチンが揃わずに延期で試合数削減となった場合、オーナー側に給与減額を求められる流れになることから選手会側は断固拒否する姿勢を示し、フル開催と満額支給を要求している。折り合いがつかない中、開幕遅延の煽りを食うのは選手たちで筒香も無論例外ではない。ただでさえ、筒香はMLBとのアジャスト(順応)に苦しんでいるだけに来季のスケジュールが不透明になれば、調整への大きな足かせとなる。

 しかも周囲からの風当たりは確実に強まっている。レイズ本拠地の地元紙であり、フロリダ州最大の新聞社『タンパベイ・タイムズ』は筒香の今季評価について「インパクトを残せなかった」と厳しく断じている。来季もいばらの道となりそうな気配が漂っていることで、昨年まで筒香のスカウティングを進めていた他球団MLBスカウトの間からは「来シーズン中、筒香は結果を出せず途中で契約打ち切りとなり、日本球界に戻るのではないか」と不吉な予言まで飛び交っているほどだ。

全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/0996a83a7ba0f08b064299ad3b00d6a6adcee5b7
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