松任谷由実が歌詞で「最も多く使う言葉」は? 年代別に読み解く
2020年12月10日 12:00
https://news.j-wave.co.jp/2020/12/post-7108.html
https://news.j-wave.co.jp/assets_c/2020/12/1204_ROAD_TO_INNOVATION-thumb-900x600-106249.jpg


J-WAVEで放送中の番組『INNOVATION WORLD』(ナビゲーター:川田十夢)のワンコーナー「LEXUS ROAD TO INNOVATION」。各界のクリエイター、イノベーターに話を聞くコーナーだ。

12月4日(金)のオンエアでは、ユーミンこと松任谷由実が登場。12月1日にリリースしたニューアルバム『深海の街』について、たっぷりと語った。

(※中略)

◆「荒井由実」「松任谷由実」で違うところは?

川田は松任谷の48年間の活動すべてのアルバムに収められている言葉を独自プログラミングで解析。松任谷のアルバムを、「荒井由実時代」「松任谷由実時代(最新アルバム『深海の街』まで)」「最新アルバム『深海の街』」に分類し、その時代で紡ぎ出された言葉をタイポグラフィで紹介した。


川田:全体の解析結果を見て感じたのは、ユーミンは「私がいちばん」ってことですね。
松任谷:うんうん。
川田:はい。いちばん出てくる言葉であり、人称もそうでした。「あなた」を歌う人もいれば、「僕」のことを歌う人もいるけど、ユーミンは「私」なんですよね。それがユーミンだなって思うところです。松任谷さんになってからも、「私」が出てくる言葉の1位でした。ちなみに松任谷さんになると、「走る」という言葉をよく使われていましたが、荒井さんのときは全然使っていないので、なんとなく心象風景の中でこの時代はそんなに焦ってないのかなって印象があります。僕の勝手な解釈ですが。
松任谷:「走る」って言葉と連動するように多くなっている言葉ってありますか?
川田:荒井さんの時代は「帰る」って動詞をよく使っているけれど、松任谷さんの時代になると、「来る」とか「待って」とかの動詞を使うようになっています。
松任谷:それは結婚したということと関係あるのかなあ。
川田:内的には、あるのかもしれないですね。

川田が分析していて一番大きな違いだと感じたのは、荒井由実時代は「愛」よりも「恋」について歌っていたことだ。

松任谷:(笑)。立場とか年齢によって、恋について書くのは、はばかられるふうになっていったのかもしれませんね。でも、自分では「愛」という言葉にマスキングさせて、「恋」を歌っている場合もあるかもしれないですね。
川田:メタファーとして。なるほど。他にも、荒井さんのときは「彼方(かなた)」をよく使っていましたが、松任谷さんになってからは、「彼」という言葉がよく登場するようになりました。そして、荒井さんのときは「四季」という言葉をそのまま使っていたんですけど、松任谷さんになると、「春」「夏」「秋」「冬」とそれぞれの季節をじっくり歌っているという印象ですね。季節に関する解像度みたいなものが上がったのかなという印象です。
松任谷:荒井由実は、茫洋(ぼうよう)としていましたね。特にファーストアルバム『ひこうき雲』は、「雨」とか「霧」とか「雲」とかが、やたら多くないですか(笑)?
川田:多いです。
松任谷:あと、「さんずい」の文字が多いと言われますね。
川田:「海」とか「波」とか、水様性の言葉はどの時代もよく使われていました。
松任谷:「流れる」とかもありますよね。