12/10(木) 5:15
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【ラグビー】引退表明・五郎丸歩が抱き続けた反骨心 あのフレーズ≠ェ嫌いだった過去も…
引退を表明した五郎丸
 あのフレーズが嫌いだった過去も――。ラグビーのトップリーグ(TL)、ヤマハ発動機の元日本代表FB五郎丸歩(34)が、来年1月開幕の新シーズン限りで現役を引退する。9日に所属チームが発表。南アフリカから歴史的1勝を挙げた2015年W杯イングランド大会でベストフィフティーンに選ばれるなど華々しい活躍をしてきた現役生活の根底にあったのは反骨心≠セった。

 ラグビー界きっての知名度を誇る五郎丸の現役生活が、あと約半年となった。この日は自身のインスタグラムで「本日(9日)リリースされた通り、今シーズンを最後に引退を決意しました」とコメントしたのみ。16日の記者会見で引退を決断した経緯や心境を語る予定だ。

 来年1月に開幕するTLで最後の伝説を残す可能性は残っているものの、これまでのハイライトはW杯イングランド大会だろう。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)率いる日本代表の主力としてキッカーも任され、1次リーグ初戦の強豪・南アフリカ戦では、1トライを含む24得点をマーク。34―32の勝利に大きく貢献した。

 この大金星は試合会場の地名にちなんで「ブライトンの奇跡」と呼ばれているが、当時の五郎丸は、この言葉に不満を感じていたという。あるTL関係者は「世間的には南アに勝ったのは奇跡でしょうけど、当時のジャパンは自信を持って試合に臨んでいましたし、それだけに彼は『奇跡じゃなくて必然』という認識でしたので、そう思ったそうです」と明かした。

 過酷なトレーニングと周到な準備をしてきた強烈な自負が「奇跡」という言葉を拒絶したわけだが、15年W杯後は現役を続けながら、知名度を生かしてラグビー伝道師≠フ顔も持つようになり、心境も変化。前出の関係者によると、「ブライトンの奇跡」という言葉が、ラグビー認知度アップに一役買っていることもあり、受け入れられるようになったという。

 また15年W杯後に大流行した「五郎丸ポーズ」についても迎合しなかった。同年の新語・流行語大賞の候補にノミネートされた際は「違和感を覚える。(当時のチームを象徴する言葉の)『ジャパンウェイ』が入ってほしかった」と拒否反応を示した。ラグビーは、15人が結束しなければ結果を残せないだけに、自分だけの受賞にしたくなかったのだ。

 思えば大学進学時も、1学年上の兄・亮氏(36)が進学していた関東学院大からの誘いもあった中、兄超え≠フためにライバルだった早大を選んだ。不完全燃焼に終わった海外挑戦も安易な現状維持を嫌ったから。まだ現役生活は残っているが、第二の人生も己の信念を貫いて突き進んでいきそうだ。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/02f269da38a65791f87b50ca0ec8ba9bb7784780