ソフトバンクが巨人を圧倒した日本シリーズ。同一カード2年連続無傷の4連勝という前例のない結末となった。
両チームの実力差がテレビを通じ全国に知れ渡り、セ・リーグのDH制導入やリーグ再編の必要性さえ議論され始めた。
しかし、巨人の惨状とともにスポットが当たったのがテレビ中継。各局の報道姿勢で賛否両論が渦巻き、注目を浴びる格好となった。

「最終的には4勝3敗で巨人が日本一」

日本テレビ系(日テレ系)で、第1戦の解説を務めた高橋由伸(前巨人監督)の予想は大きく外れた。しかし、日テレ系の日本シリーズに向けての力の入れ方は半端ではなかった。
高橋を前面に押し出し野球ファンのみならず世間へ大々的にアピール。同局人気番組『アナザースカイII』では、シリーズ開幕前夜の11月20日、高橋のフィーチャー回が放送された。
現場を離れネット裏の住人となってから2年。解説者としてはまだまだ駆け出しの『グリーンボーイ』だが、前巨人監督という新鮮味と知名度を活用した形だった。

「日本一奪回は、親会社・読売新聞社などを含めた『チーム巨人軍』全体の悲願。昨年4連敗の屈辱は相当なもので、リーグ優勝決定前からグラウンド内外で日本シリーズを盛り上げる特別体制が整えられた。
日テレもチームの一員として、徹底的に後押しする構えだった。高橋を口説き落とし、初戦解説と特集番組に出演させた。バラエティ寄りの印象がつき過ぎないように、実況担当には元PL学園エースの『松坂世代』上重聡アナを起用。
万全な体制で日本シリーズを迎えたはずだった」(大手広告代理店関係者)

だが、日テレ系関係者の熱意は思わぬ形で空回りしてしまう。

初戦4回裏無死一、二塁からショートゴロ併殺打に倒れた巨人の丸佳浩が、ファースト中村晃の足を蹴ってしまうプレーが発生。真剣勝負の中で起きたアクシデントとはいえ、
マウンド上にいたソフトバンク千賀滉大が怒りを露わに抗議している映像が流れているのにもかかわらず、実況の上重アナはその部分にはあまり触れずに終わった。
このプレーに関しては、直後からネット上は大荒れ。今や球界の“ご意見番”にもなったダルビッシュ有(カブス)が自身のツイッターで私見を述べたこともあり、多くのメディアが取り上げる騒ぎとなった。

「中継関係者ならあのプレーを見逃すことはない。実際に球が動いている場所以外に細かいドラマが落ちていることも多い。カメラクルーは必ず追っているし、中継ディレクターも何が起こっているのか把握していたはず。
球界最高峰を決める舞台でのプレーなので、実況担当としてはしっかり説明する責任はあった。当日の中継全体のミスと言ってもいいかもしれない」(在京テレビ局関係者)

上重アナは高校時代、松坂大輔が在籍した横浜高と延長17回の死闘を繰り広げた。立教大進学後も東京六大学野球のマウンドに立ち、卒業後は日テレへアナウンサー志望で入社。
多くの番組を任される同局看板アナの1人だ。しかし野球中継では“巨人寄りすぎる”という声もあり、今年7月31日の巨人対広島戦での実況も賛否が渦巻いた。

つづく

11/29(日) 16:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/1fdbfaab829eb4437763f8b730f58b3ac3bd4f99