上原浩治元メジャーリーガー「プレーした選手が期待通りにならなかったからといって、誹謗中傷することは絶対に許されない。許してはいけない」


球児の最後のマウンドにケチをつけるつもりは全くないが、個人的には「引退試合」
の在り方は考えてもいいのかなという正直な気持ちもある。

今回、勇人、中島両選手の空振りには「あうんの呼吸」があったと言われても仕方がない。
中島選手が空振り三振に倒れた場面では、テレビ画面に映った球児も苦笑いを浮かべていた。

言うまでもなく、球児は超一流の投手だ。自分のストレートの球威、伸びが全盛時と現状でどう違うか
は自分が一番わかっている。対戦した打者のスイングの軌道も、当事者同士ではごまかせない。

球児に限らず、中日の吉見一起投手が11月6日には、ナゴヤドームで打者1人から空振り三振を奪って
現役生活にピリオドを打った。「引退試合」は日本らしい演出でもあり、声高に否定するつもりはない。
ただ、難しい問題だなあという感情もぬぐえない。

引退する選手の最後ゆえに、本気でぶつかり合う真剣勝負なら文句はない。
それなら、功労者への敬意を表するセレモニーに公式戦が用いられることへの違和感もなくなる。
そうでなければ、以前にもコラムに書いたが、私は翌シーズンの開幕戦での始球式や、オフの
球団行事で堂々とセレモニーとして「登板機会」「出場機会」を設けたほうがいいという考えだ。

今回、最も残念だったことは、SNSなどでバットに当てた重信選手に対して「空気を読め」などの
コメントが上がったことだ。公式戦のプレーにおいて「空気を読む」とはどういうことなのだろうか。

テレビ解説で阪神OBの掛布雅之氏による「重信君は分かっていない」というような発言があった
との報道も目にしたが、コメントが独り歩きしてネットでの炎上に繋がる事態は避けてほしかった。
「引退試合」をどう楽しむかは、ファンの自由。だけど、その場でプレーした選手が「期待通り」に
ならなかったからといって、誹謗中傷することは絶対に許されない。許してはいけない。