中日の大野雄大投手(32)が、今季取得した国内FA権を行使せずに残留する意向を固めた。年俸3億円プラス出来高払いの3年契約で大筋合意。沢村賞候補のエース左腕は10年ぶりの優勝を目指し、2021年も竜の先頭に立つ。

 シーズン最終戦を翌日に控えた10日、竜党が待ち望んでいた朗報が舞い込んだ。巨人、阪神、オリックスが水面下で調査し、FA権を行使すれば大争奪戦が必至だった大野雄が残留を決断。このオフ最大の懸案事項が早期決着した。

 2年連続の最優秀防御率と初の最多奪三振をほぼ手中にするエースを引き留めるべく、球団は10月以降、複数回の下交渉を行ってきた。9日には与田監督が直接出馬を宣言。ただ、指揮官の出馬を仰がずとも、大野雄の心は残留に傾いていた。

 金額の提示を受けた後には、周囲に「いい評価をしてもらった」と漏らした。本拠地最終戦となった6日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)後の表彰式では来季以降の質問に「シーズンを戦い終えてから皆さんにいい報告ができれば」と話していた。

 4年総額12億円という数字も挙がっていたが、最終的には年俸3億円プラス出来高払いの3年契約で大筋合意したもよう。ベース部分の年俸は今季の1億3000万円から1億7000万円増へ大幅アップとなる。

 決断の背景には優勝への強い思いがある。前回優勝の2011年はプロ1年目。主に、大学時代に故障した左肩のリハビリに費やした。勝てば優勝の可能性があった一戦でプロ初登板し、4イニング7失点。胴上げにも、優勝旅行にも加われなかった。

 13年からは7年連続Bクラス。8年ぶりにAクラスを決めた5日のDeNA戦(ナゴヤドーム)後のお立ち台では「弱いドラゴンズを今年で終わらせて、来年から優勝を狙えるチームづくりをしないといけないと思っていた」と力を込めた。

 今季はここまで20試合の登板で11勝6敗、防御率1・82。7月末から球団記録に並ぶ5試合連続完投勝利を挙げ、9〜10月には球団新の45イニング連続無失点もマークした。タイトルも記録も手にした。10年ぶりの優勝へ。来季も大野雄が竜投をけん引する。(金額は推定)

11/11(水) 3:00
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