【エンタなう】

 混迷を極めた大統領選が今、アメリカ国家を分断しようとしている。そんな世相に痛烈な風刺を込めた“人間狩り”のサバイバル・アクション映画「ザ・ハント」が公開中だ。過激すぎる内容にトランプ大統領が「ハリウッドはレイシスト(人種差別主義者)だ」と激怒して一時は全米で上映中止に追い込まれた問題作である。

 冒頭から流れるのは悲劇の未来予知を奏でるマーラーの交響曲第6番。プライベート機で旅する富裕層の客と、機内での凄惨なハプニングが映されたあと、場面は突然、広大な森の中に。

 拘束から目覚めた12人の男女は、ここがどこなのか、どうやって連れてこられたかも分からない。巨大な木箱には一匹の豚と武器の数々が詰め込まれていた。次の瞬間、銃声が轟き何者かに狙われる。ネット上にはびこるセレブによる「人間狩り計画」は実在していたのだ…。

 はじめのうちは、主人公がいったい誰だか分からないほど、登場人物が次々と姿を消す。ホラー映画かと見まごうようなグロテスクな場面もあるが、“狩られる側”と“狩る側”の姿が分かっていくにつれ、複雑な気持ちになる。

 同じ米国人同士が敵・味方となって撃ち合う。あたかもリベラル派の富裕層が、保守派の市民を銃撃しているように見せながら、双方の心の狭さを揶揄している。黒幕を2度のオスカー受賞歴を誇るヒラリー・スワンクが熱演。屈強な“女ランボー”のガチバトルが見ものだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e9f6f3ea98bbe950d8c96616507c510e39c0d386